竹淳・文 千葉あきお・え
さあ,ゆかいな先生と生とたちの たのしいお話ですよ。読んでみよう!!
きょうは,三年生になって,五日目の朝――。
教室は,ワイワイ,ガヤガヤ。
「あたらしい星先生って,やさしそうね。」
と,ユリがいうと,一郎が,
「いや,しぎょう式で見たとき,こわそうだったぞ。」
「でも,名まえがひかる だなんて,やさしそうじゃない?」
「名まえなんて,あてになるもんか。ユリを見ればわかる。」
みんな,クスクスとわらった。
ユリ――やさしくて,かわいい女の子のようだけど,じつは,力がつよくて,でぶで,おっちょこちょいなんです。
あだ名は,ダンプのユリ。
「あら,わたしは,名まえのとおりのおしとやかな子よ。」
みんなは,口をあけて,ゲラゲラわらった。
そこへ,星先生が,のそっとはいってきた。
「こら,ベルがなったら,しずかにしろ!」
みんな,シーンとなった。
![]()
「ぼくは,大学を出たばかりだ。きびしくやるぞ!」
「しっかり,べんきょうすれば,ぼくのように,おちついた人間になれる。わかったか。」
みんなこわそうに,かたをすくめた。
「きのうは,なぜ みんな休んだんだ。ぼくひとりしか 来なかったぞ! このクラスは,なまけもののポテンコだ。」
ユリが,おどおど立った。
「あのう,きのうは日ようです。」
「ひゃっ,そうか。これはすまん。」
どうも,あんまりおちついた 人間ではないらしい。
「では,理科をはじめる。」
みんなあわてて,理科の教科書をさがした。
「ユリ,三ページを読んで。」
ユリは,大あわてで,
「すみません。教科書わすれました。」
「なに,わすれた?じゃ,ろうかに立っていなさい。」
ユリは,しおしおとろうかに立った。すると一郎が,
「先生,理科はあしたです。きょうは国語と算数です。」
「わあ,またしっぱいか。しっかりべんきょうしないと,ぼくのようなあわてんぼのポテンコになるぞ。」
![]()
みんなゲラ,ゲラ,アハハ。
先生は,ろうかへ出て,ユリにいった。
「ぼくがまちがえた。もどってよろしい。かわりにぼくが立っている。」
ユリは,キョトンとして,なんだか先生がすきになった。
「わたしも立っています。」
「おお,てつだってくれるか。たのむぞ。」
どうも,へんなかんじ……。
でぶのユリと,ひげづらの先生が立ちんぼだ。
ろうかをとおる生とや,ほかの先生が,ふしぎそうにふたりを見て行く。
![]()
ユリは,はずかしくなって,教室のみんなにいった。
「ねえ,みんなもてつだってよ。」
「ようし,てつだおう、立とう立とう。」
ぞろぞろ出てきた。
先生のよこに,クラスぜんいんが立った。
「いったい,どうなってんの。」
校長先生も,びっくり。
これでは,らい月もどんなことがおこるやら。(5月号につづく)●そそっかしいけど,やさしい先生……ユリは,いっぺんにすきになっちゃった!! 5月号をたのしみにね。
![]()
![]()
![]()
「ちばあきおのすべて」でポテンコ先生の挿絵が漫画家へのスタートだと知り,それ以来「ポテンコ先生」の文はどんなだったのだろうって思っていました。国会図書館に行って本文をコピーしてきて,ようやく読むことができました。皆さんもあきおさんのスタートを共有してください。そうそう「『小学三年生』を見るにはどうすればいいですか?」って案内の人に聞いたんですが…,ちょっと恥ずかしかったです。(^^;
あとさし絵は文の中に入れてあるだけなので,表示するブラウザのサイズによって適当に動いてしまいます。(2014.5.26 Oz)