●「ポテンコめ!!」が口ぐせの星先生と,ユリたちの明るくユーモラスなクラスのものがたり!!
きょうは,じゅぎょうがおわったというのに,ユリも一郎もしょんぼりしている。
「あああ,あしたは,おかあさんたちが,じゅぎょうを見にくる日だなあ。」
「こまっちゃうなあ。」
さんかんのあとは,家でしかられるにきまってるんだ。
星先生が,どなった。
「勉強しているところを見られて,なにがこまる!」
「先生だって,小学生のときはいやだったでしょ。」
ユリが大声でいった。
「ハッハッハ,ぼくは,へい気だったよ。」
すると,一郎が小さな声で,
「先生は,小さいときから,ごつかったから,おかあさんもこわくて,おこれなかったのだな。エヘヘヘ。」
さて,つぎの日――。
先生は,うしろにおかあさんたちがたくさんいても,へいきだ。みんなを,
「できないのか,ポテンコめ。」
と,しかりつけている。
先生は,おかあさんが来ていないからいいけれど,ユリたちは,うしろにこわいFBIがきているみたいなのもだ。
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みんなびくびく,そわそわ。
そのとき,うしろの戸がガラリとあいた。
(ちこくしたのは,だれのおかあさんだろう。)
と,みんながふりむいた。
見たことのないおばあさんだ。
星先生が,きゅうにあわてておばあさんに近づいた。何かボソボソいっている。
「おやにむかって,じゃまとはなんです。」
おばあさんは,どうやら,先生のおかあさんらしい。
「わたしは四十年も先生をしたのです。おまえの教えかたを見にきました。さあ,教だんにもどりなさい。」
星先生は,顔をまっかにしてしょぼしょぼしている。
みんなは,大よろこび。
「先生のおかあさんだ。」
「フフフ,いいぞいいぞ。」
「まっかになってらあ。」
星先生がふりむいていった。
「こら,しずかにしろ,ポテンコめ!」
「ひかる!ことばが,下ひんですよ。」
「はい,気をつけます。」
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大きくてごつい先生が,ちびおばあさんに,おしりをたたかれて,子どもみたいにあやまった。
ユリのおかあさんたちも,クスクスわらっている。
先生は,べんきょうにもどった。
「ユリ,三ばんめのこたえは?」
「ええと七・六だから四十五。」
「ううん,ええと,四十五か,よろしい。」
うしろから,おばあさんがしかった。
「ひかる。七・六は四十二!」
先生はおたおた。
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「そ,そうだ。ユリ,ちがうぞ。」
先生は,つぎに一郎をさした。
「四ばんめのこたえは?」
「八・九だから七十二です。」
「ポテンコめ,六十三だ。」
また,おばあさんの声――。
「八・九は七十二ですよ。なんていう先生ですか。」
「おかあさんが来たので,あがっちゃたんだよ。」
「先生があがってどうします。それに,どなって教えるのはいけません。」
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「ひかるは生とのせきにすわりなさい。わたしがお手本を見せてあげます。」
「はあい。」
先生はユリの前にすわった。
「先生,見えないよう。少し頭をさげて。」
「はあい。」
みんな,クスクス,キャッ,キャッ。
さあ,おばあさんが先生だ。
やさしくて,話のじょうずな先生だった。
ベルがなった。おばあさん先生は,星先生のおでこをコツンとたたいていった。
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「しっかりやりなさい。」
「わかったよ。」
「なんです。そのへんじは!」
「はあい,わかりましたあ。」
おばあさんは,にっこりしておかあさんたちにいった。
「こんなおとなになっても,おかあさんはこわいんですよ。お子さんを,あまりしからないでくださいね。」
おかあさんたちも,一ぺんに
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「はあい,わかりました。」
<小三・7月号につづきます。>◎ポテンコ先生も,おばあちゃんにかかってはポテンコ! さて,来月号ではどんなことが……?
この第3話と前の第2話は原作者とさし絵のネームがありませんでした。(Oz 2014.5.29)