キャプテン
ユーモアものがたり

ポテンコ先生 3

   


 ●「ポテンコめ!!」が口ぐせの星先生と,ユリたちの明るくユーモラスなクラスのものがたり!!

 きょうは,じゅぎょうがおわったというのに,ユリも一郎もしょんぼりしている。
 「あああ,あしたは,おかあさんたちが,じゅぎょうを見にくる日だなあ。」
 「こまっちゃうなあ。」
 さんかんのあとは,家でしかられるにきまってるんだ。
 星先生が,どなった。
 「勉強しているところを見られて,なにがこまる!」
 「先生だって,小学生のときはいやだったでしょ。」
 ユリが大声でいった。
 「ハッハッハ,ぼくは,へい気だったよ。」
 すると,一郎が小さな声で,
 「先生は,小さいときから,ごつかったから,おかあさんもこわくて,おこれなかったのだな。エヘヘヘ。」
 さて,つぎの日――。
 先生は,うしろにおかあさんたちがたくさんいても,へいきだ。みんなを,
 「できないのか,ポテンコめ。」
 と,しかりつけている。
 先生は,おかあさんが来ていないからいいけれど,ユリたちは,うしろにこわいFBIがきているみたいなのもだ。
 みんなびくびく,そわそわ。
 そのとき,うしろの戸がガラリとあいた。
 (ちこくしたのは,だれのおかあさんだろう。)
 と,みんながふりむいた。
 見たことのないおばあさんだ。
 星先生が,きゅうにあわてておばあさんに近づいた。何かボソボソいっている。
 「おやにむかって,じゃまとはなんです。」
 おばあさんは,どうやら,先生のおかあさんらしい。
 「わたしは四十年も先生をしたのです。おまえの教えかたを見にきました。さあ,教だんにもどりなさい。」
 星先生は,顔をまっかにしてしょぼしょぼしている。
 みんなは,大よろこび。
 「先生のおかあさんだ。」
 「フフフ,いいぞいいぞ。」
 「まっかになってらあ。」
 星先生がふりむいていった。
 「こら,しずかにしろ,ポテンコめ!」
 「ひかる!ことばが,下ひんですよ。」
 「はい,気をつけます。」
 大きくてごつい先生が,ちびおばあさんに,おしりをたたかれて,子どもみたいにあやまった。
 ユリのおかあさんたちも,クスクスわらっている。
 先生は,べんきょうにもどった。
 「ユリ,三ばんめのこたえは?」
 「ええと七・六だから四十五。」
 「ううん,ええと,四十五か,よろしい。」
 うしろから,おばあさんがしかった。
 「ひかる。七・六は四十二!」
 先生はおたおた。
 「そ,そうだ。ユリ,ちがうぞ。」
 先生は,つぎに一郎をさした。
 「四ばんめのこたえは?」
 「八・九だから七十二です。」
 「ポテンコめ,六十三だ。」
 また,おばあさんの声――。
 「八・九は七十二ですよ。なんていう先生ですか。」
 「おかあさんが来たので,あがっちゃたんだよ。」
 「先生があがってどうします。それに,どなって教えるのはいけません。」
 「ひかるは生とのせきにすわりなさい。わたしがお手本を見せてあげます。」
 「はあい。」
 先生はユリの前にすわった。
 「先生,見えないよう。少し頭をさげて。」
 「はあい。」
 みんな,クスクス,キャッ,キャッ。
 さあ,おばあさんが先生だ。
 やさしくて,話のじょうずな先生だった。
 ベルがなった。おばあさん先生は,星先生のおでこをコツンとたたいていった。
 「しっかりやりなさい。」
 「わかったよ。」
 「なんです。そのへんじは!」
 「はあい,わかりましたあ。」
 おばあさんは,にっこりしておかあさんたちにいった。
 「こんなおとなになっても,おかあさんはこわいんですよ。お子さんを,あまりしからないでくださいね。」
 おかあさんたちも,一ぺんに
 「はあい,わかりました。」
 <小三・7月号につづきます。>

 ◎ポテンコ先生も,おばあちゃんにかかってはポテンコ! さて,来月号ではどんなことが……?



この第3話と前の第2話は原作者とさし絵のネームがありませんでした。(Oz 2014.5.29)

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