竹淳・文/千葉あきお・え
もうすぐ夏休みだ。
夏休みはうれしいけど,通知表がこわい。
ユリは,びくびくなんだ。
ほうか後,星先生はいった。
「みんな,ドッジボールしよう。からだをきたえるんだ。」
「わあい。」
みんな,運動場へとび出した。
先生は,力いっぱいボールをビューン!
「いてっ,そっとなげて。」
みんな,ひめいをあげた。
でも,ユリはへい気だ。
「もっとしっかりなげて。そのかわり,体そうの成せきは,よくしてね。」
星先生は,ぎょろっと目をむいた。
「ポテンコめ,通知表の点など気にするな!いっしょうけんめいがんばればいいんだ。」
「わあ,先生だって,小学生のときは,通知表がこわかったでしょ。」
「ワハハハ,ぼくはよくできたから,通知表なんて,気にしなかったさ。オホホン。」
「チェッ,しょってらあ。」
一郎が,口をとがらせてつぶやいた。
「ほんとかしら,先生のおかあさんにきいてみようよ。」
ユリがいうと,先生はぎょっとなったように,
「アワワ,ちょっとまった!母は,今病気だから,ききに行ってもだめなんだ。そんなことより,さあ,おそくなったから,もう帰ろう。」
つぎの日,星先生は,学校を休んだ。病気らしい。
かわりに,きれいな女の先生がきた。
「星先生はきょうお休みですから,わたしがかわります。」
「あんりゃ,すごくきれいな先生だね。」
「わたしみたいにやさしそうね。」
ユリの声に,みんなクスクス。
「星先生ずっと休んでいればいいね。」
「うん。女の先生のほうが,通知表の点をよくつけてもらえそうだもん。」
「星先生は,すぐポテンコといっておこるしね。」
先生がやさしくいった。
「星先生がいないときに,わる口いっちゃだめですね。」
「だって,いるときにいったら,どなられるもん。」
「そうよ,こわいんだから。」
「いつも,ひげをそらないし,頭はぼさぼさで,ふけつね。」
「星先生のおよめさんになってくれる人,いるのかしら。」
「いるわけないさ。」
「今,どんな顔してねているのかしら。おみまいに行かない?」
ユリのことばに,みんな大さんせいだ。
「じゃあ,先生も行きましょう。」
ほうか後,みんなで,星先生の家へおしかけた。
星先生のおかあさんが出てきていった。
「おやまあ,みなさん,ようこそ。ひかるはちょっとかぜをひいただけで,もう,ほとんどなおりましたよ。」
そこへ出てきた星先生。女の先生を見ると,
「あ,どうも,これは,ウヒ。」
と,まっかになった。
ユリたちは,ポカーン?
「みなさん,この先生はね,ひかるのおよめさんになる人なんですよ。」
星先生のおかあさんが,にこにこわらってせつめいした。
「わあい,しまった。おれ,ずいぶんわる口いっちゃった。」
「わたしもよ,およめさんになる人,いるかなんて……。」
「通知表の点が,一ぺんにわるくなるよう。」
すると,おかあさんが,
「心ぱいしなくてだいじょうぶですよ。ひかるも小学生のときはね,3から上はなかったんですよ。」
「あ,おかあさん,よけいなこといっちゃだめ!」
星先生は,大あわて。
ユリは,すっかり安心した。
「あら,先生はわたしよりできなかったのね。わたし体そうだけは4だもの。」
「わかった,わかった。通知表の話はやめてくれえ。」
星先生は,赤くなったり,あわてたり。みんなは大わらい。(小三・8月号につづく)●こわいけど,ユリたちの大すきなポテンコ先生!! 8月号もゆかいなお話ですよ。