キャプテン
ユーモアものがたり

ポテンコ先生 4

竹淳・文/千葉あきお・え


 もうすぐ夏休みだ。
 夏休みはうれしいけど,通知表がこわい。
 ユリは,びくびくなんだ。
 ほうか後,星先生はいった。
 「みんな,ドッジボールしよう。からだをきたえるんだ。」
 「わあい。」
 みんな,運動場へとび出した。
 先生は,力いっぱいボールをビューン!
 「いてっ,そっとなげて。」
 みんな,ひめいをあげた。
 でも,ユリはへい気だ。
 「もっとしっかりなげて。そのかわり,体そうの成せきは,よくしてね。」
 星先生は,ぎょろっと目をむいた。
 「ポテンコめ,通知表の点など気にするな!いっしょうけんめいがんばればいいんだ。」
 「わあ,先生だって,小学生のときは,通知表がこわかったでしょ。」
 「ワハハハ,ぼくはよくできたから,通知表なんて,気にしなかったさ。オホホン。」
 「チェッ,しょってらあ。」
 一郎が,口をとがらせてつぶやいた。
 「ほんとかしら,先生のおかあさんにきいてみようよ。」
 ユリがいうと,先生はぎょっとなったように,
 「アワワ,ちょっとまった!母は,今病気だから,ききに行ってもだめなんだ。そんなことより,さあ,おそくなったから,もう帰ろう。」
 つぎの日,星先生は,学校を休んだ。病気らしい。
 かわりに,きれいな女の先生がきた。
 「星先生はきょうお休みですから,わたしがかわります。」
 「あんりゃ,すごくきれいな先生だね。」
 「わたしみたいにやさしそうね。」
 ユリの声に,みんなクスクス。
 「星先生ずっと休んでいればいいね。」
 「うん。女の先生のほうが,通知表の点をよくつけてもらえそうだもん。」
 「星先生は,すぐポテンコといっておこるしね。」
 先生がやさしくいった。
 「星先生がいないときに,わる口いっちゃだめですね。」
 「だって,いるときにいったら,どなられるもん。」
 「そうよ,こわいんだから。」
 「いつも,ひげをそらないし,頭はぼさぼさで,ふけつね。」
 「星先生のおよめさんになってくれる人,いるのかしら。」
 「いるわけないさ。」
 「今,どんな顔してねているのかしら。おみまいに行かない?」
 ユリのことばに,みんな大さんせいだ。
 「じゃあ,先生も行きましょう。」
 ほうか後,みんなで,星先生の家へおしかけた。
 星先生のおかあさんが出てきていった。
 「おやまあ,みなさん,ようこそ。ひかるはちょっとかぜをひいただけで,もう,ほとんどなおりましたよ。」
 そこへ出てきた星先生。女の先生を見ると,
 「あ,どうも,これは,ウヒ。」
 と,まっかになった。
 ユリたちは,ポカーン?
 「みなさん,この先生はね,ひかるのおよめさんになる人なんですよ。」
 星先生のおかあさんが,にこにこわらってせつめいした。
 「わあい,しまった。おれ,ずいぶんわる口いっちゃった。」
 「わたしもよ,およめさんになる人,いるかなんて……。」
 「通知表の点が,一ぺんにわるくなるよう。」
 すると,おかあさんが,
 「心ぱいしなくてだいじょうぶですよ。ひかるも小学生のときはね,3から上はなかったんですよ。」
 「あ,おかあさん,よけいなこといっちゃだめ!」
 星先生は,大あわて。
 ユリは,すっかり安心した。
 「あら,先生はわたしよりできなかったのね。わたし体そうだけは4だもの。」
 「わかった,わかった。通知表の話はやめてくれえ。」
 星先生は,赤くなったり,あわてたり。みんなは大わらい。(小三・8月号につづく)

 ●こわいけど,ユリたちの大すきなポテンコ先生!! 8月号もゆかいなお話ですよ。



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