キャプテン
大ひょうばんのユーモア読みもの

ポテンコ先生 7

竹淳・文 千葉あきお・え


 「ポテンコめ!」と,しかるのが口ぐせのポテンコ先生と,ユリたちのたのしい物語です。

 きょうは,運動会だ。
 パンくいきょう走や,自転車きょう走もある。一ばん人気があるのは,やっぱり,ときょう走だ。
 星先生が,クラス全いんを集めていった。
 「みんながんばるんだぞ。きょうは,わがクラスの力を,学校全ぶに知らせるんだ。さあ,思いっきりがんばろう!」
 「オーッ!」
 「オ〜〜。」
 「なんだ、ユリ,元気がないな。」
 「おなかがすいちゃったの。」
 「パンくいきょう走でがんばれ。」
 「うん,もりもりくってやる!」
 「くってやる? ユリ,おまえは女だろ。ことばに気をつけなさい。ポテンコめ。」
 「はい,女らしくします。」
 パンくいきょう走がはじまった。ようい,ドン!
 「あれ,ユリはどうかしたのかな。」
 一郎がさけんだ。
 みんなのあとから,ユリがちょぼちょぼ走っている。
 「ユリ,びりになるぞ!」
 みんながはらはらしているのに,ユリはへい気だ。
 やっとパンのところへついた。
 ところが,せがひくいので,パンにとどかない。みんなムシャムシャたべているのに――。
 星先生がそばへ来てどなった。
 「ユリ,とびあがれ!」
 「あら,先生,とびあがるなんて女らしくないですわ。」
 「女も男もないぞ。早くしろ。おなかがすいているんだろ。」
 「そういえば,そうね。くわなきゃそんだ。」
 ユリはとびあがってパクッ!
 「イテーッ,したもいっしょにかんじゃったあ。」
 ユリは,すごいスピードで走り出した。
 ゴールへついたとたんに,ばったり。
 「ヒイッ,パンがのどにつま,つま,つま……。」
 先生が,とんできた。
 「オホッ,ユリ,一とうだぞ。」
 つぎは,先生たちの,自転車おそのりきょう走だ。できるだけおそく走ったものが勝ち。
 星先生は大はりきり。
 「いつも失ぱいばかりしているから,きょうこそクラスのものに,かっこいいところを見せるぞ。」
 ようい,ドン!
 「ポテンコ先生,がんばれえ。」
 クラス全いんがおうえんだ。
 先生は,とくいになってすいすい走る。
 「先生! 走っちゃだめだい。びりになるんだよう!」
 「ありゃ,そうか。やっぱり,ぼくは,かっこわるいやくしかできないのか。」
 先生はぴたっととまった。
 「おっと,たおれる。しっかりしてよう!」
 ユリは,けんめいにさけんだ。
 のろのろ,のろのろ。
 ほかの先生がおいついてきた。
 「星先生,お先にどうぞ。」
 「いや,みなさん,お先に。」
 ぶつかってたおれる人もいる。
 「イヒヒ,どうやらびりだ。」
 ユリたちは,よろこんだ。
 「いいぞ,いいぞ。びりだ,びりだ。ビリ,ビリ,ビリになあれ。」
 先生はげんなりした。
 「へんなおうえんのしかただ。こまっちゃうなあ…と。」
 先生のおくさんの声がした。
 「あなたあ,びりになってねえ。」
 「ゲッ,見にきてるのか。」
 星先生は,まっかになって,よろよろステーン。
 「あああ,がっかり。もう少しだったのに……。」
 ユリたちは,しょんぼり。
 「やあ,すまんすまん。このつぎのときょう走でがんばるよ。」
 「生とのかけっこに,先生は出られないわ。」
 「なに,かまわん。とくべつ出えんだ。」
 ユリたちは,スタートラインにならんだ。
 見物人は,ワイワイガヤガヤ。
 「やあ,ばかに大きい生とがいるなあ。」
 「うん,ひげもはえている。ずいぶんらくだいしたらしい。」
 スタート!
 星先生はトップだ。あたりまえだよね。ところが,あまりいい気になって走ったので,まがりかどでドターン。
 そこへ,あとからきたユリたちがドサッ! パサッ! つづけて先生の上へのっかった。
 「ワーン,だからだめだといったのにっ。」
 みんなゲラゲラ……。
 ついに全いんびりになった。
 (小三・11月号へつづく)

 ユリちゃんは歌が大すきだ。11月号では,ユリちゃんと「ちびっ子歌まつり」でうたおう。
 ますますおもしろい「ポテンコ先生」!11月号もゆかいなお話ですよ。



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