キャプテン
   

ポテンコ先生 8

竹淳・文 千葉あきお・え


 ポテンコ先生とユリたちの楽しい学校生活。さて,今月は何がおこるのだろう?

 朝,教室で,星先生がみんなにいった。
 「学げい会は,げきをやるぞ。」
 「バレエのほうがいいわ。」
と,ユリはもんくをいった。
 「ポテンコめ,バレーボールは,運動場でやるものだ。」
 「あら,いやだ。先生ったら。おどりのバレエよ。」
 「え? ハッハッハ。ぼくのほうが,ポテンコだったな。」
 一郎が,びっくりして,ユリにきいた。
 「ユリはバレエをやったことがあるのかい。」
 ユリは,あっさりこたえた。
 「ないわ。けど,かんたんよ。」
と,つま先で立ち,手をあげて,バレエのまねをした。
 先生が大きな声をだした。
 「なんだい,そりゃあ。あひるのおどりか。」
 みんなは,ゲラゲラわらった。
 ユリは先生をにらんでどなった。
 「先生,へんなこというと,やっつけちゃうわよ。」
 よく日,先生がげきの話を作ってきた。
 目が不自由で,みなしごの,心のやさしい少年少女と,一ぴきのやぎの美しい,そして悲しいものがたりだった。
 ユリはかん心して先生にいった。
 「先生がこんなきれいな話しを考えたの。人はみかけによらないのね。」
 「へへへへ,そうほめるなよ。」
 なんだか,へんな会話だね。
 先生はみんなのやくをきめた。
 ユリはやぎをいじめる,いじわるな,かいぬしになった。
 ユリはしぶい顔をしているのに先生は知らん顔。
 学げい会の朝がきた。
 星先生が,あわてて教室にとびこんできた。
 「かしてもらうはずのやぎが,ゆうべ死んじゃったんだ。だれかやぎをかりられないか。」
 ユリはにっこりわらっていった。
 「先生がやぎのやくをすればいいわ。」
 みんなも大さんせい。
 ユリたちのげきがはじまった。
 先生やぎの首になわをかけ,ユリがひいて,ぶたいにでた。
 「うすのろやぎ,いそぐのよ。」
 ユリは,どなりつける。
 おまけに,先生のおしりをけとばすので先生は顔をしかめて
 「いてて,ポテンコめ。やさしくしてくれ。」
と,小声でいった。
 すると,ユリも小声で,
 「あたしは,いじわる少女よ,うんといじわるくしろって,先生がいったでしょ。先生はやぎよ。なきなさい。」
 先生は,かなしそうに,
 「メエー。」
 ユリはうれしくなって,なんどもなんどもけった。
 お客さんははく手かっさい。
 そこで,ユリは,もういちどボイーン。先生が,ひょいと,おしりをひっこめたから,たまらない。ユリはころげおちた。
 「いた,たたた。」
 先生は,まっさおになって,
 「だいじょうぶか,ユリ。ようご室へ行こう。」
と,ユリをだきあげた。とてもやさしい先生だった。からだがぽかぽか,あたたかかった。
 ユリはうれしくなって,
 「平気です。ごめんね,先生。」
 (小三・12月号につづく)

 日本じゅうの学校で,大ひょうばんのポテンコ先生。12月号をまっててね。



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