竹淳・文 千葉あきお・え
ポテンコ先生とユリたちの楽しい学校生活。さて,今月は何がおこるのだろう?
朝,教室で,星先生がみんなにいった。
「学げい会は,げきをやるぞ。」
「バレエのほうがいいわ。」
と,ユリはもんくをいった。
「ポテンコめ,バレーボールは,運動場でやるものだ。」
「あら,いやだ。先生ったら。おどりのバレエよ。」
「え? ハッハッハ。ぼくのほうが,ポテンコだったな。」
一郎が,びっくりして,ユリにきいた。
「ユリはバレエをやったことがあるのかい。」
ユリは,あっさりこたえた。
「ないわ。けど,かんたんよ。」
と,つま先で立ち,手をあげて,バレエのまねをした。
先生が大きな声をだした。
「なんだい,そりゃあ。あひるのおどりか。」
みんなは,ゲラゲラわらった。
ユリは先生をにらんでどなった。
「先生,へんなこというと,やっつけちゃうわよ。」
よく日,先生がげきの話を作ってきた。
目が不自由で,みなしごの,心のやさしい少年少女と,一ぴきのやぎの美しい,そして悲しいものがたりだった。
ユリはかん心して先生にいった。
「先生がこんなきれいな話しを考えたの。人はみかけによらないのね。」
「へへへへ,そうほめるなよ。」
なんだか,へんな会話だね。
先生はみんなのやくをきめた。
ユリはやぎをいじめる,いじわるな,かいぬしになった。
ユリはしぶい顔をしているのに先生は知らん顔。
学げい会の朝がきた。
星先生が,あわてて教室にとびこんできた。
「かしてもらうはずのやぎが,ゆうべ死んじゃったんだ。だれかやぎをかりられないか。」
ユリはにっこりわらっていった。
「先生がやぎのやくをすればいいわ。」
みんなも大さんせい。
ユリたちのげきがはじまった。
先生やぎの首になわをかけ,ユリがひいて,ぶたいにでた。
「うすのろやぎ,いそぐのよ。」
ユリは,どなりつける。
おまけに,先生のおしりをけとばすので先生は顔をしかめて
「いてて,ポテンコめ。やさしくしてくれ。」
と,小声でいった。
すると,ユリも小声で,
「あたしは,いじわる少女よ,うんといじわるくしろって,先生がいったでしょ。先生はやぎよ。なきなさい。」
先生は,かなしそうに,
「メエー。」
ユリはうれしくなって,なんどもなんどもけった。
お客さんははく手かっさい。
そこで,ユリは,もういちどボイーン。先生が,ひょいと,おしりをひっこめたから,たまらない。ユリはころげおちた。
「いた,たたた。」
先生は,まっさおになって,
「だいじょうぶか,ユリ。ようご室へ行こう。」
と,ユリをだきあげた。とてもやさしい先生だった。からだがぽかぽか,あたたかかった。
ユリはうれしくなって,
「平気です。ごめんね,先生。」
(小三・12月号につづく)日本じゅうの学校で,大ひょうばんのポテンコ先生。12月号をまっててね。