文・竹淳 え・千葉あきお
●三年生なら,だれでも知ってる,おてんばユリちゃんのゆかいな話。
二学期さいごの日,星先生がきいた。
「だれか,もちつきを知っているか。」
ユリがききかえした。
「どんなお月さまですか。」
一郎がげらげらわらって,
「ばかだな。三組の望月くんのことさ。」
星先生は,目をぎょろり。
「ポテンコめ,食べるもちをつくことだ。」
星先生は,もちつきをせつ明してから,みんなにいった。
「三十日の朝八時から,ぼくの家で,もちつきをするから,きぼうしゃは見にこい。」
「もち屋にたのんだ方がらくちんです。」
「ポテンコめ。なんでもらくしようとするな。もちつきはけんこうにいい。それに手づきのもちはうまいんだぞ。」
かえりがけに,ユリはみんなに話した。
「あたしも,ついてもらう。うちのもちと,先生がついたもちと,あじをくらべるのよ。」
三十日の朝,家の前にでた星先生は,びっくりぎょうてん。
「み,みんなきたのか。うちの庭は,せまくてはいれないぞ。」
「学校の運動場でつけばいいじゃない。」
「そうか,ユリもたまには,いいこというな。」
「まあ,しつれいね。」
「あれ? みんなバケツをもってるな。」
「水にひたしたお米をもってきたの。あたしのもついて。」
「ひえっ。うちのもちが三うすに,おまえたちのが二十うすもかい。」
ユリは先生のまねをして,
「ポテンコめ。らくをしようとするな。もちつきはけんこうにいい。」
「まいった。まいった。」と先生。
「あたしは,いつでもいいこというのよ。」
「運動場で,先生のもちつきがはじまった。先生のおかあさんが,きねとりだ。みんなは,手わけして,給食室でお米をむしたり,できたもちをにぎったり。
お昼になった。十二うすも,ついた先生はもうふらふらになって,ぺたりんこん。
ユリがうすに米を入れて,先生にいった。
「こんどはあたしのもちよ。しりもちはつかなくていいわ。」
みんなは大わらい。
先生は立ちあがるとユリを,ぎょろっとみた。
「この米はなんだ。」
「ふつうのお米です。」
「ポテンコめ。もちにするのはもち米だ。」
ああ,やっぱりユリだねえ。みんなは,げらげらわらった。
一郎がいった。
「これをおにぎりにして,ごはんにしよう。」
しおをつけただけのおにぎりは,とてもおいしかった。
夕方,もちつきは終わった。
星先生は,のびてしまった。
ユリが大声を出した。
「先生をリヤカーで運ぼう。」
「さんせーい。」
みんなは,わっしょい わっしょいと走りだした。
ユリが先生にいった。
「やっぱり手づきのもちは,おいしいわ。らい年もまたね。」
星先生が,やっと答えた。
「もちつきは,もうけっこう。」
さあ,あさっては元日だ。
<小三・正月号につづきます。>●ゆかいなもちつきで,ことしもおわったね。さあ,このつづきは,ますますたのしい正月号で読もうね!!
とじかっこがない行が一行ありますが,自分のミスではありません。(Oz 2014.5.28)