キャプテン
ユーモア小説

ポテンコ先生 9

文・竹淳 え・千葉あきお


 ●三年生なら,だれでも知ってる,おてんばユリちゃんのゆかいな話。

 二学期さいごの日,星先生がきいた。
 「だれか,もちつきを知っているか。」
 ユリがききかえした。
 「どんなお月さまですか。」
 一郎がげらげらわらって,
 「ばかだな。三組の望月くんのことさ。」
 星先生は,目をぎょろり。
 「ポテンコめ,食べるもちをつくことだ。」
 星先生は,もちつきをせつ明してから,みんなにいった。
 「三十日の朝八時から,ぼくの家で,もちつきをするから,きぼうしゃは見にこい。」
 「もち屋にたのんだ方がらくちんです。」
 「ポテンコめ。なんでもらくしようとするな。もちつきはけんこうにいい。それに手づきのもちはうまいんだぞ。」
 かえりがけに,ユリはみんなに話した。
 「あたしも,ついてもらう。うちのもちと,先生がついたもちと,あじをくらべるのよ。」
 三十日の朝,家の前にでた星先生は,びっくりぎょうてん。
 「み,みんなきたのか。うちの庭は,せまくてはいれないぞ。」
 「学校の運動場でつけばいいじゃない。」
 「そうか,ユリもたまには,いいこというな。」
 「まあ,しつれいね。」
 「あれ? みんなバケツをもってるな。」
 「水にひたしたお米をもってきたの。あたしのもついて。」
 「ひえっ。うちのもちが三うすに,おまえたちのが二十うすもかい。」
 ユリは先生のまねをして,
 「ポテンコめ。らくをしようとするな。もちつきはけんこうにいい。」
 「まいった。まいった。」と先生。
 「あたしは,いつでもいいこというのよ。」
 「運動場で,先生のもちつきがはじまった。先生のおかあさんが,きねとりだ。みんなは,手わけして,給食室でお米をむしたり,できたもちをにぎったり。
 お昼になった。十二うすも,ついた先生はもうふらふらになって,ぺたりんこん。
 ユリがうすに米を入れて,先生にいった。
 「こんどはあたしのもちよ。しりもちはつかなくていいわ。」
 みんなは大わらい。
 先生は立ちあがるとユリを,ぎょろっとみた。
 「この米はなんだ。」
 「ふつうのお米です。」
 「ポテンコめ。もちにするのはもち米だ。」
 ああ,やっぱりユリだねえ。みんなは,げらげらわらった。
 一郎がいった。
 「これをおにぎりにして,ごはんにしよう。」
 しおをつけただけのおにぎりは,とてもおいしかった。
 夕方,もちつきは終わった。
 星先生は,のびてしまった。
 ユリが大声を出した。
 「先生をリヤカーで運ぼう。」
 「さんせーい。」
 みんなは,わっしょい わっしょいと走りだした。
 ユリが先生にいった。
 「やっぱり手づきのもちは,おいしいわ。らい年もまたね。」
 星先生が,やっと答えた。
 「もちつきは,もうけっこう。」
 さあ,あさっては元日だ。
 <小三・正月号につづきます。>

 ●ゆかいなもちつきで,ことしもおわったね。さあ,このつづきは,ますますたのしい正月号で読もうね!!



とじかっこがない行が一行ありますが,自分のミスではありません。(Oz 2014.5.28)

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