文・竹淳 え・千葉あきお
◆日本じゅうの小学三年生にすかれるポテンコ先生。きみの学校にもこんな先生いますか。
算数のとき,星先生がもんだいをだした。
「一こ三十四円のりんごと,十三円のみかんを五こずつ買った。いくらになる?」
ユリが,ていあんをした。
「もったいないわ,安いものにしましょう。安いと,けい算もらくよ。」
「だまってやれ。」
みんなのこたえは,二百三十五円になった。ところがユリは,こういった。
「二百二十五円です。にこにこやおやは,二百円いじょう買うと,十円まけます。」
「ポテンコめ。勉強のときは,勉強のことだけ考えろ。ぼくみたいにおちつけ。」
「だって,げんろんは自由よ。」
「いうことをきかないと,四年生になるとき,らくだいさせるぞ。」
一郎がふざけた。
「ユリがらくだいしたら,みんなは,らくちんだい。」
星先生は一郎もにらんだ。
きょうの星先生はこわいね。これには,ひみつのわけがあるのだ。
朝ごはんのとき,星先生は,おつゆなべをけとばして,ひっくりかえしてしまったのだ。
先生のおかあさんはしかった。
「そんなあわてものでどうします。生とまでが,おっちょこちょいになりますよ。」
だから先生は,はんせいしているのだ。
★ ★ ★
さて,午ごは理科の勉強で,上野動物園の見学だった。
学校を出るとき,星先生がめいれいした。
「ユリは,ぼくのうしろについて来い。おしゃべりも,いたずらもするな。おちつきの勉強をしろ。」
らくだいだからねえ。
ユリはいいつけどおりにした。
動物園にはいってからも,星先生のせなかばかり見ていた。
しかし,星先生は動物を見ると,はしゃぎはじめた。
ライオンのまえでは,
「こら,ほえろ。ウォーッ」
なんてどなって,ハンカチをふったりした。
かえりに,上野えきのきっぷ売り場で,星先生はあわてた。
「ありゃりゃ。さいふがなくなった。」
みんなもギョッとして,顔を見あわせた。お金がないと,電車にのれないんだもん。
ユリがすましていった。
「先生はライオンのところで,ハンカチをだしたでしょ。あのとき,さいふがおちたわ。」
「ポテンコめ。なぜだまっていた。」
「先生がしゃべるなっていったんだもん。」
星先生が走りだそうとした。
ユリがわらってさけんだ。
「さいふはひろっておいたわ。ほらね。先生の方が,あわてものよ。」
「ううん。まいった。」
星先生とユリは,にこにこわらって,きっぷも買わずに,かいさつ口に歩いていった。
やっぱり,星先生は,ちょっぴりおちょこちょいだね。
一郎がみんなに話した。
「あのふたりは,そろってらくだいだぞ。」
でも,こわい星先生より,あわてもののポテンコ先生の方がいいね。
(小三・3月号は,おかしくてかなしいお話…まっててね。)★ユリちゃんは,ぶじに四年生に進めるでしょうか。われらのユリちゃんがんばれ。みなさんも応えんしてね。