キャプテン
●大ひょうばんの ゆかい物語●

ポテンコ先生 11

文・竹淳 え・千葉あきお


 ◆日本じゅうの小学三年生にすかれるポテンコ先生。きみの学校にもこんな先生いますか。

 算数のとき,星先生がもんだいをだした。
 「一こ三十四円のりんごと,十三円のみかんを五こずつ買った。いくらになる?」
 ユリが,ていあんをした。
 「もったいないわ,安いものにしましょう。安いと,けい算もらくよ。」
 「だまってやれ。」
 みんなのこたえは,二百三十五円になった。ところがユリは,こういった。
 「二百二十五円です。にこにこやおやは,二百円いじょう買うと,十円まけます。」
 「ポテンコめ。勉強のときは,勉強のことだけ考えろ。ぼくみたいにおちつけ。」
 「だって,げんろんは自由よ。」
 「いうことをきかないと,四年生になるとき,らくだいさせるぞ。」
 一郎がふざけた。
 「ユリがらくだいしたら,みんなは,らくちんだい。」
 星先生は一郎もにらんだ。
 きょうの星先生はこわいね。これには,ひみつのわけがあるのだ。
 朝ごはんのとき,星先生は,おつゆなべをけとばして,ひっくりかえしてしまったのだ。
 先生のおかあさんはしかった。
 「そんなあわてものでどうします。生とまでが,おっちょこちょいになりますよ。」
 だから先生は,はんせいしているのだ。
   ★  ★  ★
 さて,午ごは理科の勉強で,上野動物園の見学だった。
 学校を出るとき,星先生がめいれいした。
 「ユリは,ぼくのうしろについて来い。おしゃべりも,いたずらもするな。おちつきの勉強をしろ。」
 らくだいだからねえ。
 ユリはいいつけどおりにした。
 動物園にはいってからも,星先生のせなかばかり見ていた。
 しかし,星先生は動物を見ると,はしゃぎはじめた。
 ライオンのまえでは,
 「こら,ほえろ。ウォーッ」
なんてどなって,ハンカチをふったりした。
 かえりに,上野えきのきっぷ売り場で,星先生はあわてた。
 「ありゃりゃ。さいふがなくなった。」
 みんなもギョッとして,顔を見あわせた。お金がないと,電車にのれないんだもん。
 ユリがすましていった。
 「先生はライオンのところで,ハンカチをだしたでしょ。あのとき,さいふがおちたわ。」
 「ポテンコめ。なぜだまっていた。」
 「先生がしゃべるなっていったんだもん。」
 星先生が走りだそうとした。
 ユリがわらってさけんだ。
 「さいふはひろっておいたわ。ほらね。先生の方が,あわてものよ。」
 「ううん。まいった。」
 星先生とユリは,にこにこわらって,きっぷも買わずに,かいさつ口に歩いていった。
 やっぱり,星先生は,ちょっぴりおちょこちょいだね。
 一郎がみんなに話した。
 「あのふたりは,そろってらくだいだぞ。」
 でも,こわい星先生より,あわてもののポテンコ先生の方がいいね。
 (小三・3月号は,おかしくてかなしいお話…まっててね。)

 ★ユリちゃんは,ぶじに四年生に進めるでしょうか。われらのユリちゃんがんばれ。みなさんも応えんしてね。



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