文/竹淳 え/千葉あきお
◆いよいよ今月で,ポテンコ先生ともおわかれです。最後まで,しっかり読んでね。
◆ポテンコ先生が,てんきんするというので,みんなで,おわかれ会をはじめることになったが……。通知表がみんなにわたった。
ユリと一郎は,しょんぼりと,
「通知表なんて,だれが発明したのかな。」
「ただだけど,ほしくないわね。先生に返しましょうよ。」
ふたりは星先生を見た。
どうしたことか,先生も元気がなかった。
ユリが先生に聞いた。
「先生も,お点が悪かったの。」
「ポテンコめ。先生が通知表をもらうものか。ぼくは四月から東町小学校にてんきんだ。おまえたちと別れるのが,かなしいんだ。」
ユリは目をまるくして,みんなにいった。
「いやだあ,星先生がいなくなったら,お勉強したくなくなるわ。」
みんなはうなずいた。
一郎はこういった。
「いまでも,勉強しないものな。」
「へへへ,そう…。うるさいわね。校長先生にたのみに行こうよ。星先生をてんきんさせないでって。」
「さんせえい。」
「星先生もいっしょによ。」
先生はびっくりした。
が,すぐよろこんで,
「おもしろいな。ようし。」
「ワッショ,ワッショ。」
みんなは先生をかこんで,ろう下に出た。
校長先生があわてて,走って来た。
みんなは声をそろえていった。
「星先生をよその学校へ行かせないでえ。」
校長先生は,おごそかに返事した。
「てんきんをきめるのは教いくいいん会です。星先生のてんきんは出世てんきんです。ゆうしゅうな先生だからです。きみたちが,そんなことをすると,『星先生が悪いから』といわれて,星先生がこまるのです。」
校長先生は星先生をしかった。
「先生のくせに,なにごとです。ポテンコめ。」
校長先生は星先生のまねをした。でも,先生の目は,わらっていた。校長先生も星先生がすきらしい。
みんなは,がっかりして,教室にもどった。なきだす女の子もいた。先生もはなをくしゅんとさせた。
ユリが,けいきよくどなった。
「先生には,いつでもあえるわ。ほがらかに,おわかれ会をしましょうよ。」
星先生もにっこりしていった。
「ポテンコのユリが,いいことをいったな。」
ようやくみんなは,げらげらわらった。
ユリがますますはりきって,
「ケーキやジュースを買ってこなきゃ。先生,お金ちょうだい。」
「ほいきた。さいふごと,もって行け。」
おわかれ会がはじまった。
ユリが先生に話した。
「東町小学校に,あたしみたいに,りっぱな生とが,いるといいけど,心ぱいだわ。」
みんなは,くすくすわらった。
だれでも,じぶんがよく見えるらしいね。
星先生が,あいさつをした。
「ぼくのために,こんな楽しいおわかれ会を開いてくれて,ほんとうにありがとう。」
ふつうのおわかれ会は,生とが,たべものやのみものを買うのだが,この会はあべこべだ。
だけど,だれも気がつかない。
やっぱり,最後まで,このクラスはポテンコだったねえ。◆みなさん 一年間,読んで くださってありがとう。
四年生になってからも,ユリを思い出してね。