キャプテン
  

ポテンコ先生 12

文/竹淳 え/千葉あきお


 ◆いよいよ今月で,ポテンコ先生ともおわかれです。最後まで,しっかり読んでね。
 ◆ポテンコ先生が,てんきんするというので,みんなで,おわかれ会をはじめることになったが……。

 通知表がみんなにわたった。
 ユリと一郎は,しょんぼりと,
 「通知表なんて,だれが発明したのかな。」
 「ただだけど,ほしくないわね。先生に返しましょうよ。」
 ふたりは星先生を見た。
 どうしたことか,先生も元気がなかった。
 ユリが先生に聞いた。
 「先生も,お点が悪かったの。」
 「ポテンコめ。先生が通知表をもらうものか。ぼくは四月から東町小学校にてんきんだ。おまえたちと別れるのが,かなしいんだ。」
 ユリは目をまるくして,みんなにいった。
 「いやだあ,星先生がいなくなったら,お勉強したくなくなるわ。」
 みんなはうなずいた。
 一郎はこういった。
 「いまでも,勉強しないものな。」
 「へへへ,そう…。うるさいわね。校長先生にたのみに行こうよ。星先生をてんきんさせないでって。」
 「さんせえい。」
 「星先生もいっしょによ。」
 先生はびっくりした。
 が,すぐよろこんで,
 「おもしろいな。ようし。」
 「ワッショ,ワッショ。」
 みんなは先生をかこんで,ろう下に出た。
 校長先生があわてて,走って来た。
 みんなは声をそろえていった。
 「星先生をよその学校へ行かせないでえ。」
 校長先生は,おごそかに返事した。
 「てんきんをきめるのは教いくいいん会です。星先生のてんきんは出世てんきんです。ゆうしゅうな先生だからです。きみたちが,そんなことをすると,『星先生が悪いから』といわれて,星先生がこまるのです。」
 校長先生は星先生をしかった。
 「先生のくせに,なにごとです。ポテンコめ。」
 校長先生は星先生のまねをした。でも,先生の目は,わらっていた。校長先生も星先生がすきらしい。
 みんなは,がっかりして,教室にもどった。なきだす女の子もいた。先生もはなをくしゅんとさせた。
 ユリが,けいきよくどなった。
 「先生には,いつでもあえるわ。ほがらかに,おわかれ会をしましょうよ。」
 星先生もにっこりしていった。
 「ポテンコのユリが,いいことをいったな。」
 ようやくみんなは,げらげらわらった。
 ユリがますますはりきって,
 「ケーキやジュースを買ってこなきゃ。先生,お金ちょうだい。」
 「ほいきた。さいふごと,もって行け。」
 おわかれ会がはじまった。
 ユリが先生に話した。
 「東町小学校に,あたしみたいに,りっぱな生とが,いるといいけど,心ぱいだわ。」
 みんなは,くすくすわらった。
 だれでも,じぶんがよく見えるらしいね。
 星先生が,あいさつをした。
 「ぼくのために,こんな楽しいおわかれ会を開いてくれて,ほんとうにありがとう。」
 ふつうのおわかれ会は,生とが,たべものやのみものを買うのだが,この会はあべこべだ。
 だけど,だれも気がつかない。
 やっぱり,最後まで,このクラスはポテンコだったねえ。

 ◆みなさん 一年間,読んで くださってありがとう。
  四年生になってからも,ユリを思い出してね。



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