―墨谷快進撃の章―
![]() | 発行日:2003年 2月 1日 |
キャプテンの風景B担当編集者が語る制作秘話
直されなかった原稿 ちばさんの絵は、一見簡単そうに見える。だが簡単そうに描いて面白く見せるということが、いかに困難をともなうものか。傍らで見ている僕が辛くなるほど、彼は艱難辛苦する。人物の一挙一動、そしてコマ割りに細心の注意を払う。だから彼は遅筆だった。
「月間少年ジャンプ」の『キャプテン』一本の時でさえ、締め切り時間との戦いで、納得いかぬ場合は体調を崩すことがあったのに「週間ジャンプ」の『プレイボール』との両連載となった時、彼の精神力、体力の消耗はいかばかりだったか。
今回掲載の、丸井キャプテンの夏の合宿シーン、絵柄が変わっているのに、気付かれた読者も多いと思う。この時も体調を崩し。執筆不可能となった。人気漫画だったから、休載は許されず、ちばさんの話をもとにして、新人の漫画家さんに(今では高名な漫画家になり活躍されている方もいる)無理を押してお願いしたものだ。
コミックスにする時、そのシーンをちばさん自身の手で描き直すのかと思っていたが、彼はそれをしようとはしなかった。多分、自分の不始末を他の漫画家の手をわずらわせたことに対し、描き直すのは、失礼にあたるとちばさんは思ったに違いない。