―泥まみれの決戦の章―
![]() | 発行日:2003年 3月 1日 |
キャプテンの風景C担当編集者が語る制作秘話
最大のライバル校となる、青葉学院という名称だが、ちばさんは最初、下町の学校、墨谷二中に対して、山の手の学校として、青葉学院中等部という名称を考えた。だが当時漫画で、青葉学園という名称が多かったので担当編集者は気に入らず、自分の出身校である青山学院をもじり、青葉学院とした。ちばさんは了解したが、彼は青葉学園という名前が頭から離れず、応援団の旗などに、青葉学園と描き、担当者はその都度、修正していた。
ところで、ちばさんは、主人公に対してのライバルというか、対比する人物を描くのが上手かった。例えば青葉学院の佐野であり、絶筆となったボクシング漫画「チャンプ」の桜庭であり、これ以外の作品にも多々いる。そういえば、ちばさんは、一枚の画用紙に、物語に使う使わないは別にして、いろんな人物―チームの人物だけでなく、いろんな職業の老若男女―を、三十人くらい描いてあったのを思い出す。
ちばさんが描くキャラクター像としては、「谷口」の存在は珍しい。彼が描くキャラクターは、例えば、下手だけど野球好きな少年であれば、下手なりの野球好きのまま、いかに野球が楽しいかということをテーマに、ドラマを構築することが多かった。谷口のように努力して成長していくというキャラクター、あるいは筋立てはなかったように思う。
「キャプテン」を例にとるなら、丸井は谷口の信奉者で、根は善良なのだが威張る。イガラシは野球が上手くて非情。近藤はわが道を行くという具合で、みんな谷口のように、真面目な努力型のキャラクターではない。これはおそらく、当時の担当編集者が、酔っ払いの情けない人物で、ちばさんには初めて見るタイプの人間だったので、反面教師的に創造したのではないか。
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