―泥まみれの決戦の章―
![]() | 発行日:2003年 5月 1日 |
キャプテンの風景E担当編集者が語る制作秘話
担当者にわかるようでは… ちばさんを担当していた頃から、もう三十年も経つのか。だんだんと彼との思い出も、記憶の向こうに消えていく。
ディテールにこだわり、妥協をゆるさない彼の執筆姿勢は、悪戦苦闘の連続だった。今回の春の選抜大会に向けてのイガラシの猛特訓のシーンは、彼自身を奮いたたせるために描いているのかと思うほどだ。
あまりの特訓のやり方に、心配した松尾選手の母親の提言で、野球部のあり方を協議するために、部員の親たちが集まる。ここで平凡な担当編集者は、ストーリーの先を予測した。
もともと野球好きな松尾は、猛特訓にも耐え、学業と両立させて頑張る。その姿を見て母親の方が折れる…。
だが、ちばさんは見事に編集者の予測を裏切った。特訓の最中、ある選手の素振りのバットがスッポぬけ、それが松尾の頭に当たり大騒ぎになるシチュエーションを作る。それがもとで選抜大会は棄権する。
ちばさんは、マヌケな編集者の方を向き、「まず編集者の考えていそうなストーリーの裏をかかなくちゃね」と、いたずらっぽくニヤッと笑った。