(宝島社発行 キャプテン PERFECT BOOK TVシリーズ 全26話 完全解説より)
谷口はその期待に立派に応えたじゃないか野球の名門校である青葉学院から、墨谷二中に転校してきた谷口。野球がヘタで青葉では2軍の補欠だった彼は、墨谷でも野球部に入った。ところが野球部員たちから、青葉のレギュラーだったと勘ちがいされてしまう。
2軍の補欠だったとはっきり言えなかった谷口は、青葉のレギュラー並みの力をつけるために父親とともに神社で野球の特訓を開始。何か月もの特訓の末、谷口はノックの球をキャッチすることができるようになった。谷口の陰の努力を知っていた野球部のキャプテンは、次期キャプテンに谷口を指名する。谷口の父親が開発したもの
谷口の父親は野球を知らないため、息子のために特訓用の秘密兵器を開発した。その名も『大リーガー養成マシン』。マンガを参考にして作っただけあって、どこかで聞いたような名前。打撃や守備の練習ができるスグレモノである。谷口が野球がうまくなったのは、父親の応援とこのマシンあってこそだ。
あれなんだなぁ、前のキャプテンが谷口さんを選んだ理由は谷口がキャプテンとなった墨谷野球部では、新入部員を迎えることになった。ところがうまくノックができない谷口。その光景を見て、新入部員のイガラシはあきれかえる。落ちこんだ谷口は、またも神社でノックの特訓を開始。数日後には見事なノックを披露するまでになった。 そして迎えた地区予選、墨谷の初戦の相手は格下の江田川中。しかし江田川にはイガラシの元同級生で井口という豪腕投手が入っていた。井口の前に沈黙する墨谷打線。だが完封されかかった9回裏、イガラシのアドバイスから見事逆転勝利を飾る。
谷口の初ホームランは……
9回裏まで1対0で負けていた江田川中との試合。ここで谷口はランナーひとりをおいて、フェンス直撃の長打を放つ。ランナーはホームにかえって同点。谷口もホームへ突っこんで逆転に成功する(中継した井口の悪送球が原因だが)。谷口の公式戦初のホームランは、ランニングホームランだったのだ。
みんなキャプテンのことを、なんだと思っているんだよ!イガラシが試合に出して欲しいと願い出た。イガラシの実力を試した墨谷ナインは、その高い能力に驚く。谷口はイガラシを試合に出そうと考えたが、ナインの強い反発にあってしまった。迷いに迷った末、谷口は試合に勝つため、丸井の代わりにイガラシをセカンドに入れる。
そして迎えた地区大会の第2戦、相手は強豪の金成中。墨谷はヒット性の当たりを連発したが、ことごとく金成中の守備に阻まれる。金成中のマネジャーが墨谷のデータをコンピュータで解析し、打球の落ちる位置をあらかじめ予測していたのだ。金成中のマネージャーが集めたデータ
対戦校の情報を集め、打球の落ちる位置をも割り出せる金成中のマネージャー。一体、何のデータを使っているかと思いきや、パソコンの画面に表示されているのはコクゴ、エイゴ、リカ、スウガクの文字。学校の成績から、打球の方向が割り出せるのだろうか。だとすれば、かなり高性能のパソコンだ。
俺みたいな素質も才能もないものはこうするしか、ほかに方法はないんだ金成のデータ野球に気づいた谷口だったが、なかなか得点することができない。しかし、9回を迎えた墨谷ナインはデータ以上の力を発揮。打球の飛距離を伸ばして逆転に成功、金成を打ち破る。
地区予選の決勝に進んだ墨谷の相手は、谷口のいた青葉学院。勢いに乗り慢心する墨谷ナインに、谷口は青葉の練習を見学させ、その実力の差を思い知らせる。青葉に勝つため過酷な特訓を開始し、墨谷ナインから疎(うと)まれる谷口。だが、谷口自身は陰でさらに厳しい特訓をしていることをナインは知り、墨谷野球部は結束を新たにするのであった。墨谷ナインが青葉で見たものとは……
青葉学院の練習は、墨谷のレベルよりもはるかに高いものだった。しかも、その練習をしていたのは青葉の2軍。バスで練習会場に乗りつけた1軍は、ジャンパーを脱ぎ捨て颯爽(さっそう)と登場する。ちなみに、脱ぎ捨てられたジャンパーを拾うのは2軍の役目。青葉の1軍と2軍との格差は、かくも厳しいのだ。
リラックスしてやれば、互角に戦えるんだぞ!とうとう青葉との地区予選決勝を迎えた墨谷ナイン。一方、全国大会の優勝候補筆頭である青葉は、しょせん地区予選の決勝と侮り、2軍を試合に出してきた。墨谷の応援団は2軍の練習を見て、そのレベルの高さに慄然(りつぜん)とする。だが、この日のために特訓を重ねてきた墨谷は、2軍と互角にわたりあった。
エースの松下こそ打ちこまれるものの、守備で助け、打線が援護。7回を終わった時点で6対7と逆転に成功した。ここにきて青葉の監督は、1軍のエース・佐野の投入を決断する。試合は正念場を迎えようとしていた。谷口の元チームメイトの言葉に奮起する墨谷
ロッカールームで墨谷ナインと出会った青葉の補欠。彼は野球がヘタだった谷口がキャプテンをやっていることに驚き、自分も墨谷に行けばよかったとぼやく。谷口自身はそう言われても仕方がないという感じで気にしなかったが、他の墨谷ナインは、この言葉に奮起。試合での好プレーにつながったのだ。
ちょっと待った!!だれがそんな規則決めたんだね?青葉のエース・佐野を知っていた谷口は、その打球を打つために墨谷ナインを特訓していた。佐野を打ちこまれた青葉は守備陣を次々と1軍に交代し、墨谷の攻撃をなんとか1点に抑える。
9回の攻撃を迎えた青葉は、バッターも1軍と総入れ替え。その交代人数は常識とされる14人を超えていた。だが、青葉の監督はそんぼことが規則書に明記されていないことを理由に、交代を認めさせる。連打を浴びた松下は5点を失い、さらに強烈なピッチャー返しを肩に受けて降板。代えのピッチャーがいない墨谷は、最大のピンチに陥った。突然、歌いだした丸井。その効果は……
5点を失い、逆転されてしまった墨谷。意気消沈するナインを見て、丸井はベンチから声をかけた。そこで、何を思ったか、突然主題歌『君は何かができる』を歌いはじめる。ナインもそれに合わせて合唱。墨谷は元気を取り戻すのだが、その後、松下は負傷してしまう。せっかくの丸井の熱唱も効果なし?
泣いても笑っても、これが最後の攻撃だぞ!松下に代わって、谷口がマウンドに立った。1アウトを取ったものの、不慣れなピッチャーに戸惑う谷口。そこですべてのポジションをこなせるといっていたイガラシに、マウンドをたくすことにした。イガラシは予想外の好投を見せ、青葉の攻撃をしのぐ。
9回裏、3点を追う墨谷は2アウトながら1点を返して、なおもランナーは1塁2塁のチャンス。バッターは谷口。フェンス直撃の長打を放ち、1点を返したものの、1塁ランナーだったイガラシは本塁でアウト。悔し涙を見せるイガラシ。墨谷は惜しくも敗れ去ってしまった。魅せた!丸井のファインプレー
松下の負傷で、マウンドに立ったイガラシ。その代わりに、丸井はセカンドに入った。谷口は試合慣れしていない丸井を心配したが、当の本人は守備に打撃にと大活躍。実は丸井は谷口を見習って、陰で特訓を積んでいたのだ。レギュラーから外された丸井が、意地を見せた。次期キャプテンの本領発揮?
同じ条件で墨谷二中と再試合をしたまえ青葉との激戦の後、すっかりだらけきってしまった墨谷野球部。そんな中、墨谷との試合で選手を15人以上使った青葉の行為が問題となった。中学野球連盟の会長は、墨谷と青葉の再試合を決定する。
再試合に向けてはりきる谷口だったが、他の部員はやはりだらけていて練習に身が入らない。そこに他の運動部が、日本一に挑戦する野球部を応援しようと、有望な若手を使ってくれと申し出た。だが有望な若手といえど、一朝一夕で野球ができるはずもない。その不甲斐なさに、野球部員たちはやる気をとりもどし、猛練習を開始した。コアラになった丸井?
今回の名(迷?)シーンは、キャッチボールで見せた丸井のプレー。キャッチボールで谷口の投げた球を捕ろうとした丸井は、なんとチームメイトの小山の肩につかまってキャッチ。しかもちゃんとボールは捕っていた。しかし、小山と丸井は同じ中学生なのに、体格差が赤ちゃんと大人ほどもちがう。
キャプテンは最後まで捨てやしないじゃないか!再試合を前に「青葉相手には3、4回しか投げられない」と弱音をもらすイガラシ。他のナインも、写真部の撮ってきた青葉の練習風景を見て愕然(がくぜん)とする。青葉は甲子園で活躍するようなOBと特訓していたのだ。
すっかり意気消沈するナイン。それをよそに谷口はイガラシのリリーフをするため、投球練習をはじめる。勝てない試合のために無駄なことをすると、学校中の笑いものになる谷口。だがひとりがんばるキャプテンの姿に、墨谷ナインは奮い立った。そして、事実上の日本一を決める青葉との再試合がはじまる。投手・谷口を実現させた松下の友情
周囲にバカにされつつも、投球練習をはじめた谷口。その谷口をひとり助けたのが、負傷している松下だった。彼は自分のケガに、責任を感じていたのだ。昼夜つきっきりで、谷口にアドバイスする松下。そのおかげで青葉との再試合を前に、谷口の投球はイガラシも驚くほどのレベルになっていた。
ピッチャー経験のない谷口が投げるなんて……青葉との再試合に臨んだ墨谷ナインは、慣れない大舞台に緊張してエラーを連発。3回までに6点を失ってしまう。その後、落ち着きを取り戻したものの、相手の堅守に阻まれて、なかなか点を返すことができない。
そんな中、谷口はリリーフのために投球練習をはじめたが、それが思わぬ効果を生む。谷口が投げると知って青葉ナインが動揺。エラーや失投で3点をゆるしたのだ。勢いにのる墨谷だったが、ファールボールを追った谷口が相手ベンチに激突して負傷。爪を剥(は)がしてしまい、リリーフができなくなってしまった。幻に消えたピッチャー谷口の投球
この回のみどころは、なんといっても谷口のピッチング。その投球は青葉が動揺し、墨谷にチャンスを与える。しかし、残念なことに谷口は指を負傷してしまい、万全なコンディションで投げることができなくなってしまう。投手・谷口はキャプテンの続編のマンガ『プレイボール』で読むことができるぞ!
おまえのあらんかぎりの力で勝利を勝ち取ってこい!1点を返したのみで、9回表を迎えてしまった墨谷。だが、爪を剥(は)がしたばかりか、指を骨折しながらプレーを続けていた谷口の気迫に感化され、打線が爆発。一挙に3点を奪って逆転に成功する。
その裏、青葉の監督はピッチャーをファールで潰せと指示。この作戦の前にイガラシは倒れ、代わりに谷口がマウンドに立った。監督に直訴して勝負に出る青葉の佐野。その打球は、力尽きて倒れていたセンター・浅間の方向に飛んだ。球を追って、すべての墨谷ナインが走る。球は丸井がキャッチし、墨谷は日本一に輝いた。ボールを血でぬらしながら投げた谷口
爪が剥がれ、指を骨折した状態でマウンドに立った谷口。キャッチャーの小山は、受け取ったボールについた谷口の血に気がつく。血をふきとり、泣きながら返球する小山。だが谷口のその気迫は、ファールを繰り返していた青葉に勝負させる気を起こさせる。谷口の力投が、墨谷に勝利を呼びこんだのだ。
丸井、野球部を頼むぞ次期キャプテンとしてな!青葉を倒し、墨谷野球部を日本一にした谷口。ところが青葉戦で負傷した指を医者に診てもらった結果、もう野球はできないと宣告される。
途方に暮れる谷口。だが、最後の仕事として次期キャプテンを決めるため、1・2年生対3年生の壮行試合の審判を買ってでた。次期キャプテンの最有力候補はイガラシだったが、試合では味方の和を乱すことが多く、反対に丸井はなんとかチームをまとめようと奔走する。その様子を見た谷口は、その夜、自分の家を訪れた丸井に「野球部を頼む」と話し、次期キャプテンを任せたのだった。もう野球ができないと告げられた谷口だったが……
内田医院の医者に、その指では野球はできないと告げられた谷口。その残酷な事実に谷口はもちろん、谷口の両親も涙を禁じえなかった。悲しいエピソードだが、マンガの続編である『プレイボール』では、指のハンデを負いつつも野球をはじめている。マンガの中盤では、指も医者に治してもらっているのだ。
なんぼでも投げまっせわい、ピッチャーやってたんや!谷口が去り、新入部員を迎えた墨谷野球部。ところが新キャプテンの丸井は主体性がなく、何かというと谷口を引きあいに出す始末。それでもイガラシの提案により、新入部員からレギュラー候補を選抜することになった。
レギュラー候補に立候補した近藤という新入生は、守備はダメだが剛速球を投げてみせる。投手不足の墨谷ナインは近藤に期待するが、当の本人は自分の力を過信し、守備練習をしようとしない。頭にきた丸井は、バットで近藤を殴ってしまう。丸井率いる墨谷野球部の出発は、不安に満ちたものとなった。ダメ新入部員と思われた近藤の一球
守備がヘタで、打つほうも変化球が苦手な近藤。それでもレギュラーのテストを続けて、遠投しようとする。ところが丸井は「投げたらクビだぞ」と宣告。実に度量の狭いキャプテンだ。しかし、近藤は剛速球を投げてみせて見事合格。もっとも近藤は、この後、墨谷のトラブルメーカーに……。
こいつ対戦相手のキャプテンのポジションすら知らん。勝ったぞ!春の選抜大会にのぞんだ墨谷ナイン。だが、丸井は対戦相手の港南中をなめてかかっていた。試合慣れさせるために、なんと守備のできない近藤をライトに入れてしまったのだ。逆に港南は墨谷のことをよく調べており、初回に2点こそ取られたが、その後は得点を許さない。
墨谷は先制したものの近藤のエラーで2点を失い、同点とされてしまう。8回からマウンドに立った近藤だが、投球こそよかったものの守備でミスを連発。逆転をゆるしてしまう。春の選抜大会、優勝候補だった墨谷は、1回戦で敗れ去ってしまった。島田怒りの鉄拳!
試合慣れさせるために、ライトとしてスタメンに入った近藤。ところが「ライトはカッコ悪い」と暴言をはく。これを聞いて、怒ったのは丸井だけではなかった。スタメンから外されたライトのレギュラー・島田は、近藤をボコボコ殴ってしまう。島田がライトだったら試合結果も変わっていたかも。
丸井にキャプテンを続けてもらうかどうか決めようぜ選抜大会の責任を、すべて近藤のせいにした丸井。その大人げない行動に、墨谷ナインは丸井をキャプテンから降ろすことを決める。一方、反省していた丸井は夏の大会に向けて、36校に練習試合を申し込んでいた。このチームのためを考えた行動に、丸井は再びキャプテンを任されることになる。
丸井は夏の大会で日本一になるため、合宿を開始。そのスケジュールはイガラシの提案もあっても苛烈(かれつ)なものとなる。合宿最終日には82人いた部員は11人に減っていたが、墨谷ナインは夏の大会に向けて確かな手ごたえを感じていた。部員が2割以下にまで減った過酷な合宿メニュー
選抜大会で1回戦負けした墨谷は、それを教訓に日本一に向けて合宿をはじめた。だが、丸井の考えた当初のメニューは、昼寝やおやつの時間が含まれた内容。見かねたイガラシは、メニューの変更を提案する。その結果、食事と睡眠時間以外はすべて練習で朝4時半から夜11時まで続く、地獄の合宿となった。
いやぁ、変則トリプルヘッダーなんて言わないかな合宿を終え、墨谷ナインは36校との練習試合を開始した。1日3校との試合という墨谷のハードスケジュールに、なめられたものだと憤る対戦校。ところが、墨谷は春の選抜で準優勝した川下中相手に有利に試合を進める。その光景を見て、他の対戦校は墨谷の力をあまく見ていたことに気づかされた。
墨谷は近藤のミスで追い上げられたものの、イガラシのリリーフで川下中に勝利。これを皮切りに、次々と名だたる強豪を打ち破っていく。そして、とうとう36校との練習試合に全勝という偉業を達成したのだった。近藤の珍プレー・好プレー
川下中との練習試合で近藤は完封するために、1塁に送球するところを本塁に悪送球。おかげで2点を失ってしまう。このミスで近藤はライトを守るはめに。そして次の打者の打球は、そのライトへ。平凡なフライをエラーした近藤は、もちまえの強肩でホームへ返球。何とか同点となるのを防いだのだった。
その陰険な野球ってのをやってやろうじゃねえか!夏の大会の地区予選がはじまった。墨谷の1戦目の相手は江東中。偵察に来た青葉の目を気にしたイガラシは、手のうちをさらさないように試合を進めることを提案した。丸井は反発したものの、結局イガラシの案を採用する。
それでも墨谷は2回の攻撃までに16点を叩き出し、2回裏途中でコールドゲームを決めてしまった。その強さを目にした青葉の監督は、地区大会の決勝は青葉と墨谷になり、勝ったチームが全国大会に優勝すると予測する。そして、その言葉通り青葉と墨谷は決勝に進出、雌雄を決することになった。いまだ丸井に影響力のある谷口
近藤はイガラシに任せると言っておきながら、試合がはじまると近藤に怒り狂う丸井。あまりに大人げない態度に、イガラシは谷口を引きあいに出して丸井をさとす。すると、丸井は納得し、突然明るくなって鼻歌を歌いはじめた。その変わり身の早さに、墨谷ナインはずっこけてしまう。谷口はやはり偉大?
ママをママゆうて、何がおかしいんや?青葉との決勝を前に、墨谷ナインは緊張の色を隠せない。前夜、谷口と相談した丸井は、ナインの緊張をなんとかほぐそうと四苦八苦。ところが期せずして、近藤が母親のことを「ママ」と呼んでいることが発覚。大笑いした墨谷ナインは緊張も解けて、ベストコンディションで試合に臨むことになった。
試合は初回に青葉が2点を先取したものの、その裏、墨谷が4点を奪い返す展開。そのまま近藤も青葉の投手・佐野も、打たせて捕るピッチングで失点を許さなかった。ところが、9回に近藤が逆転のホームランを打たれてしまう。驚愕する青葉学院
春の選抜大会をすべて無失点で投げぬき、青葉を優勝に導いた佐野。それに自信がついたのか、佐野は墨谷との試合の1回表終了時に、「2点入れてもらえりゃたくさんだ」と自信満々だった。ところが、墨谷に4点も入れられてしまう。そのときの驚きに満ちた青葉ナインの表情は、一見の価値あり。
つったてりゃいいって言ったくせに、酷なキャプテンだぜ9回表、すでに限界を超えていた近藤は、イガラシと交代する。一方、青葉の投手・佐野も疲れきっており、9回裏の守備で倒れてしまう。代わったリリーフから墨谷は1点を返すことに成功し、試合は延長戦へ。
そして迎えた18回裏、墨谷ナインはすでに疲弊し、満足に動くこともできない状態。だが一番疲れていたはずのイガラシはバッターボックスに入ると、渾身の力でサヨナラホームランを放つ。見事勝利をもぎとったが、傷つきすべての戦力を失った墨谷は、明日に控えた全国大会を棄権せざるをえなかった。気力で放ったイガラシのホームラン
青葉との試合の18回裏、イガラシが文字通り全身全霊の力をこめて一打を放った。サヨナラホームランとなるこの一打は、全話を通してもっとも劇的な場面。逆転サヨナラホームランを打った後、倒れてしまったイガラシを見て、キャッチャーに手を貸すよう命じた青葉の監督のセリフもまた感動的だ。
丸井たちが卒業し、新たにキャプテンに就任したイガラシ。彼はレギュラーが5人も卒業したことに、危機感を覚えていた。そこで新入生を含めた全部員を対象に、レギュラー候補の選抜をはじめる。ところが冷徹なまでに厳しいその選抜方法に反感を覚えた他の部員は、前キャプテン・丸井にイガラシの横暴を訴えた。
親丸井派で反イガラシ派の部員
短気短慮の上、すぐに手を出す丸井は一時キャプテンを解任されるほど人気がなかった。ところがキャプテンが誰であろうと、反発する者は出てくるようだ。この回では久保と遠藤が、今までとちがう路線をとったイガラシに反感を持ち、丸井に告げ口する。まったく誰がやってもキャプテンは大変な役割だ。
現在の墨谷二中のキャプテンは俺です
しかし、丸井は春の選抜大会で優勝するという目的に納得し、逆にイガラシの後押しをはじめる。丸井の後押しを得たイガラシは、春の選抜大会優勝に向けて猛特訓を開始したのであった。
それにしても、兄ちゃん本気で優勝狙うつもりだぞ春の選抜大会優勝を狙うイガラシは、レギュラーたちを鍛えるために過酷な練習メニューを考えた。新たに入部してきたイガラシの弟・シンジの提案で、夜も明るい工場の空き地を使うことにした。その練習は殺人的な量。練習は朝5時から10時まで組まれており、学校の昼休みすら練習時間にあてる始末。さすがの墨谷ナインもこれにはビックリ。
ところが練習初日の朝、新入生のレギュラー候補・松尾は母親と一緒に登校。松尾の母は「学業を優先させるべき」とイガラシに抗議して、息子を特訓から抜けさせてしまう。イガラシの実家が登場
イガラシ兄弟の実家は中華料理屋を経営しており、今回その外観が登場する。その名も五十嵐亭。親の影響か第15話の合宿の際、イガラシは夕食にラーメンを披露していた(インスタントではあるが)。イガラシの弟・シンジも店の料理ならなんでも作れるらしく、この回ではラーメンを作っている。
今すぐに、こんなバカげた特訓をやめさせるべきです!激しい特訓を続ける墨谷ナイン。その風景は新聞でも取り上げられ、春の選抜大会の優勝候補No1に目された。しかし、皮肉にもその記事がきっかけで、墨谷二中に抗議の電話が殺到する。過剰な練習が問題になり、野球部の父兄が学校へ呼び出される事態になってしまった。
父兄の話しあいは野球部の練習に好意的な方向で進んだが、その最中に松尾が練習で骨折。この事件がきっかけとなり、野球部の特訓は中止。春の選抜大会を棄権させられてしまう。だが墨谷野球部はくじけず、夏の大会に向けて闘志を新たにしたのだった。野球部の父兄たちの顔ぶれ
激しい野球部の合宿について話し合うため、急遽集められた墨谷ナインの父兄。その顔は誰の親か説明されなくても判別がつくほど、子供にそっくり。墨谷ナインの将来の姿そのものだ。ただイガラシ兄弟の親は中華料理屋を経営しているためか、会議に出席してなかったようだ。ちょっと残念。
僕をもういちど、もういちど野球部へ入れてください!夏の大会に向けて、気持ちも新たに練習を開始した墨谷ナイン。だが松尾の抜けた穴は、容易に埋まりそうにない。そんな中、OBの丸井と加藤が現れ、江田川中のエース・井口に気をつけろと警告する。谷口の時代に戦ったことのある井口は、着々と実力をつけて超一流のピッチャーになっていたのだ。
新たな強敵の出現に、イガラシは井口を想定した特訓を開始。そこにケガから回復した松尾が、野球部に戻りたいと願い出る。松尾の復帰をこころよく受け入れた墨谷野球部は、夏の大会に向けて着々と戦力を整えつつあった。松尾が治療を受けていた病院は実は……
腕を骨折した松尾が通っていた病院は、内田医院という整形外科。ここの医者は、実は以前も一度登場したことがある。そう、谷口の指を診察して、一生野球ができないという残酷な宣告をした、あの医者なのだ。松尾の骨折はちゃんと治してくれたのだが、どうせなら谷口の指も治してほしかった。
痛い目にあえ近藤、お前のためだ夏の大会の地区予選がはじまった。初戦の墨谷の相手は、データ野球の金成中。墨谷は特訓で得たパワーでこの試合に圧勝すると、続く2、3戦目も余裕の勝利。しかし、墨谷ナインは自分たちのパワーに過剰な自信をもちはじめていた。危惧したイガラシは、なんとかナインの慢心を抑えようと苦悩する。
イガラシの相談に乗った丸井は、自分のいる朝日高との練習試合を提案。墨谷ナインはこの試合で13対1という大差で敗北し、自分たちの弱さを思い知ることになる。この試合は墨谷ナインに貴重な経験を与えたのだった。イガラシの悪夢
金成中との試合の圧勝でパワーにおぼれるナインたちに、不安を覚えたイガラシ。しまいには細かいミスを繰り返して、見知らぬチームに大敗する夢を見てしまう。みずからが課した過酷な特訓がナインにパワーを与えたのに、それが悩みの原因になるとは予想していなかっただろう。イガラシも苦労性だ。
イガラシ、今の俺の球にどれほどついてこれるかな?墨谷はついに地区大会の決勝に進出した。相手は青葉を打ち破った江田川中。イガラシは井口を警戒して、みずからマウンドに立った。ところが、そのせいで近藤はやる気をなくしてしまう。しかも近藤はベンチに押しかけてきた丸井から逃げようとして、審判に助けを求め、試合の進行を妨げる始末。
かんじんの試合のほうは、元チームメイトである井口とイガラシの投げあいとなった。お互い相手のことをよく知っており、手の内を読みあうため、まったく得点が入らない。だが、墨谷はライトを守る近藤が弱点となっていた。いまだに野球のルールを覚えていない近藤
入部当初から野球のルールに疎(うと)かった近藤。2年生になってもルールをすべて覚えられず、ピッチャーがモーションに入っているのにタイムをかけようとする。おまけに味方のサインの意味すら理解していないようで、イガラシのサインがわからなかった。「バカは野球に向かない」とは丸井の至言かも。
キャプテンはお前じゃないか思ったとおりやるんだぞ投手戦が続く墨谷と江田川の試合。墨谷は9回の表にようやく2点を取り、勝利への糸口をつかむ。ところがその裏、近藤のミスで2塁、3塁にランナーを出し、一打逆転のピンチを迎えてしまった。墨谷応援団から沸き起こる「近藤ひっこめ!」のコール。
しかし、イガラシは近藤にピッチャーを任せて勝負をかけた。タッチアップで1点を失い、さらに2アウトながら満塁のピンチを迎える近藤。彼は粘り強いピッチングで耐えて、最後はみずからの手でファールボールをキャッチ。墨谷に勝利を引きこみ、全国大会のキップを手に入れた。真のキャプテンはやはり……
丸井とちがって、引退後はまったく姿を見せなかった谷口。後輩にちょっと冷たいという気がしないでもない。ところが谷口は後輩たちにプレッシャーを与えまいと考え、常に陰から墨谷二中を応援していたのだ。その姿勢は谷口こそ、真のキャプテンだと実感させられる。丸井も谷口を見習えばいいのに……。