キャプテン
努力する才能だけは誰にも負けないキャプテンがチームをまとめ、中学野球部を勝利に導く!

侍ジャパン「野球マンガ代表」 キャプテン

侍ジャパン「谷口タカオ」

野球少年たちの原点 『キャプテン』

『キャプテン』は1972年から1979年まで月刊少年ジャンプに連載された、ちばあきお原作の野球マンガである。作者であるちばあきおは同じくマンガ家のちばてつやの実弟で、兄のアシスタントを務めながら1967年にデビューを果たしている。
 彼にとって、初の少年誌連載マンガとなった本作は昭和40年代に一世を風靡した、いわゆるスポ根マンガとは一線を画すのが特徴だ。主人公は決して超人ではなく、魔球や秘打などの必殺技も登場しない。また登場するキャラクターたちにイケメンはおらず、みんな丸刈り頭。ヒーローとはほど遠い存在のどこにでもいる中学生の野球少年ばかり。熱血のスポ根野球マンガとは違う、ごく普通の野球部の物語だ。しかし、だからこそ感情移入でき、彼らが壮絶な努力を重ね、身体的にも精神的にも成長し、勝利を勝ち取る姿に、感動せずにはいられない。
 また野球部が代替わりするとともにチームが変化していくのも、見どころであり特徴だ。連載初期はキャプテンの谷口タカオが主人公、谷口の卒業後は丸井、その次はイガラシ、その次は近藤……といった具合に、墨谷二中野球部の歴代キャプテンを中心に描かれ、チームが次第に強くなってゆく様は見ていてワクワクさせられる。この主人公の世襲システムは、当時は類を見ないもので、非常に画期的だったといえよう。
 その人気を示すように『キャプテン』は作品の高いクオリティが評価され、1977年には小学館マンガ賞を受賞している。ちなみにこのとき、卒業後の谷口を描いたスピンオフ作品『プレイボール』も同時受賞した。
 その後、1980年4月にテレビスペシャルとしてアニメ化されると大きな反響を呼び、同年8月には新作場面を追加しての再放送が行われ、高視聴率を記録している。また、その勢いそのままに翌年1981年に劇場版アニメ化され、さらに1983年にはテレビシリーズ化、2007年には実写映画化もされている。
『キャプテン』はマンガだけではなく、こうしたメディアミックスによって多くの人々に知られることとなり、近年活躍するアスリートたちの中にも子どもの頃にファンだったと言う人物も多く、今もその人気は高い。たとえばイチロー、新庄剛志、田中将大など、いまや世界的な名選手となったレジェンドたちが本作のファンを公言しており、特にイチローはオリックスへ入団の際に、コミックスを全巻を寮に持ち込んでいたというエピソードが伝えられているほどだ。
 もしも彼らの成功の裏側に『キャプテン』の存在があったら面白い。もちろん生まれ持った野球センス、恵まれた身体能力など、先天的なものがアスリートの存在性に大きく影響するのは疑いようがない。しかし、スポーツは後天的に学べる技術も大きな力になり、"努力できること"こそが、アスリートにとっての真の才能であり、それは時代が変わっても不変である。『キャプテン』はそんな大切なことを教えてくれるマンガだ。
 現在も続く『キャプテン』の人気の秘密は、そうしたスポーツマンの原点であり、愚直な努力の大切さを描いているからこそかもしれない。努力の大切さは、何もスポーツに限った話ではない。何事においても、またわれわれの普段の生活の中でも大切なことだ。子どもの頃に読んだ『キャプテン』に教えられた大切なこと。それは、今もなお読者の心の中で生きているに違いない。

侍ジャパン「谷口タカオ」 谷口キャプテン

人知れず、そして人一倍努力する信頼できる人物

 墨谷二中に転入した谷口は、野球部入部の際に名門野球部の二軍の補欠にもかかわらずレギュラーと誤解される。だが、谷口はその誤解を本当にするためにボロボロになるまで練習。ついにはその努力を認めたキャプテンによって、次期キャプテンに任命される。
 キャプテンとしての不安はありつつも、責任を果たそうとする谷口。時には部員に反発されながら、持ち前の努力によって徐々にチームをまとめてゆく。そして地区予選では、強豪青葉学院と互角以上の戦いを見せるも惜敗。その後、再試合で勝利するため、弱点である投手層の薄さをカバーするべく、谷口は投手の練習をし、迎えた再試合では、利き手の人差し指を骨折するもリリーフ登板。さらには打撃でも逆転タイムリーを放つ活躍をする。チームは谷口の真摯な姿勢に強い結束を見せた。

丸井キャプテン

短期で乱暴だけど、とにかく熱くて一生懸命

 小柄ながら熱血漢の丸井は谷口を信奉。キャプテンとしてイガラシと力を合わせ、墨谷二中ナインをけん引する。
 春の全国大会初戦で敗退し、その悔しさから夏の全国大会優勝を目指すことを決意。すぐさま36校練習試合を組み、超スパルタ合宿を実践する。しかし、その熱血ぶりが仇となり、脱落者が続出。残った1年生は近藤だけとなってしまう。
 その後、激しい練習の甲斐あって墨谷ナインは決勝戦で強敵・青葉学院を延長18回の死闘の末に破るほどの成長を見せる。だが、その試合でケガ人が続出し、全国大会を棄権せざるを得ないという悲運に終わる。
 卒業後、丸井は後輩の元に顔を出し、熱血指導することも多く、面倒見の良さを見せる。墨谷二中を最も愛する男といえよう。

イガラシキャプテン

秀才型で頭脳派 論理的かつ努力を惜しまない

 谷口キャプテン期から、チームの主力として活躍していたイガラシ。投手も内野手もこなせるセンスと実力、プレイングマネージャーとしての冷静沈着さ、あらゆる面において、作品中最強のキャプテンといえる。
 夏の大会、地区予選から全国大会まで、ありとあらゆる難敵に立ち向かうなか、実力はあるが性格に難のある近藤を上手く使いこなすことが課題だった。
 墨谷二中が戦略面・戦術面で、日本一のチームに成長したのは、この優秀なキャプテンの力によるもの。また一見クールなイガラシはチーム強化のため、丸井に負けないほどのスパルタ訓練を取り入れるという熱い一面があった。その練習は保護者からクレームが来るほどで、その際、不運にも部員がケガをしてしまい、春の選抜を棄権する事態となった。

近藤キャプテン

豪速球とパワーが自慢 バカでドジが玉にキズ

 近藤は丸井キャプテン期に入部した。関西なまりの豪傑。豪速球を投げ、長打力もあるが、その反面、小技がきくタイプではなく鈍足。そのうえマイペースでデリカシーがなく、礼儀に欠けるため、入部早々に丸井に反感を買ったり、冷静なイガラシを怒らせるなどチームの不安材料だった。
 そんな近藤も3年生にはキャプテンとなり、チームをけん引するが、力及ばずチームは春の選抜大会で準々決勝止まりに終わる。だが一方、近藤はそれまでのスパルタでやる気のあるものだけを残し、少数精鋭を作り上げる墨谷二中の方法とは違い、1年生でも可能性のあるものをどんどん引き上げる方法を取っていた。これによって早い段階で新人を育成することができ、意外にも近藤は将来の墨谷二中を支える基盤を作ることになるのだった。


侍ジャパン「谷口タカオ」  2014年10月14日野球の日本代表侍ジャパンに5人の選手が追加招集されました。そのうちの一人が「谷口タカオ」です。侍ジャパンのユニフォームに背番号5番の谷口のユニフォームが…アマゾンで約15000円(特製したじき付)、う〜ん。買おうかどうしようか、思案中です。あと、この本には「ちばあきおとキャプテンマンガ創作裏話」(取材・作画 井上正治 取材協力・谷口忠男)というマンガが載っています。(2016.11.22 Oz)
野球マンガの主人公が侍ジャパン入り!?

2014年10月14日
野球の日本代表、侍ジャパンのメンバーに、5人の選手が追加された。選手の名前は、谷口タカオ、上杉達也、茂野吾郎、三橋康、沢村栄純…。
「ん? これって…」
 ここまで読んでそう思った人は、相当は野球好きであり、相当な野球漫画好きであると言って間違いない。
 昨年、侍ジャパンに追加された5人の選手とは、まさに、日本を代表する野球漫画の主人公。
 野球を通じて、主人公が少しずつ成長していく、ちばあきおの「キャプテン」からは谷口タカオ。1億冊以上の単行本を売上げ、アニメは20%以上の高視聴率を叩き出した、あだち充の「タッチ」からは上杉達也。リトルリーグ、中学野球、高校野球、マイナーリーグ、日本代表、メジャーリーグと、主人公が野球の頂点を目指し続ける、満田拓也の「MAJOR」からは茂野吾郎。主人公のピッチャーだけでなく、女房役のキャッチャー、女性監督、相手チームの選手の視点から高校野球を描く、ひぐちアサの「大きく振りかぶって」からは三橋康。甲子園に挑戦する高校球児の主人公のリアルな姿を浮かび上がらそうとする、寺嶋祐二の「ダイヤのA」からは沢村栄純。
 これら5つの野球漫画の主人公の5人のキャラクターが、侍ジャパン入りを果たしたのだ!
『野球漫画のキャラクターで、侍ジャパンの日本代表を作れたら面白いかもしれないと、居酒屋で盛り上がったのが始まりだったんです』
 そう語ってくれたのは、侍ジャパンのマーケティングを担当する、株式会社NPBエンタープライズの広報部主任の加藤謙次郎氏。
 善は急げのことわざそのままに、加藤氏はこれらのマンガを連載していた(連載している)、集英社、小学館、講談社とコンタクトを取り、侍ジャパンと野球マンガを一緒に盛り上げていきたいという熱い想いをぶつけてみた。
「時間はかかったんですが、各出版社の担当者さんから、最後は『よくまとめたね!』と言ってもらえて、今では意気に感じてもらっているようです」(前出の加藤氏)
 こうして、野球とマンガのワクを超え、出版社のワクも超えて、5人のキャラクターは、侍ジャパンのメンバーとして、日本代表のユニフォームを身にまとうことになる。
 これに対し、小久保裕紀侍ジャパン代表監督からは、「5名の侍ジャパン入りを歓迎します。私自身、野球少年だったときに、『キャプテン』や『タッチ』を読んで育ちました。侍ジャパン入りした野球マンガが『結束』することで、これまで以上に盛り上がってくれることを期待しています」といコメントをもらうことになった。
(完全保存版 野球漫画大解剖 侍ジャパン×野球マンガ)


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