キャプテン 漫画家 秋本治さん

作品の″核″はチームワーク

漫画家 秋本治

 ちばあきお先生とは、今から17年前、ジャンプのパーティーの二次会で、初めてお会いしました。当時、自分は新人で締切りに追われる毎日。パーティーになど行く余裕はなかったのですが、担当に、気分転換にと誘われて、二次会まで顔を出しました。
 二次会の店は、人であふれていて、その中にいたのが、ちばあきお先生でした。
「こっちへ来なさい。いっしょに飲もう!」と、新人の自分に声をかけてくれて「連載大変でしょう。馴れた?」と笑顔で話してくれたのをとても印象深く覚えています。
 漫画は、孤独でコツコツ描くものと自分は考えていたので、あんなに大勢のスタッフや仲間と楽しく語られているのを羨ましく思いました。
 自分なりに考えると『キャプテン』や『プレイボール』といった作品の″核″になっているのは、チームワークではないかと感じます。試合の勝ち負けも大切だけど、それはたんに結果であって、重要なのはチームのひとりひとりの描き方だと思います。
 自分など主人公中心で描き、あとはその他のキャラクターで出てくるだけですが、ちばあきお先生は、その他のキャラひとりひとりを大切に描いています。
 野球漫画はヒーロー中心の展開が常道なのに、この人はこう考える、この人はこうだ、とチーム全体に命を吹き込む作業を丹念にされています。このことは実生活でも同様で、スタッフたちのチームワークを大切にする気持ちが作品に反映し、つまるところ人間が好きで、人間に興味があるんだなあと感じます。「どんな脇役にも人生があるんだ」と、ちばてつや氏が語られていたのを、なぜか思い出します。

(「ちばあきおのすべて」回想ちばあきおより)

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