キャプテン TV解説者 浜田剛史さん

祝勝会に届いた悲報

TV解説者 浜田剛史

 先生の最後の作品となった『チャンプ』がボクシング漫画ということで、連載前から取材で何度もお会いしました。練習方法からボクサーの心理まで、実に熱心に取材されるのには、びっくりしたものです。『チャンプ』の主人公の太一はチャンピオンを夢見て上京しますが、ボクシングは未経験で気の弱そうな少年です。当時、こうした少年はたくさんいました。太一は、たまたまセンスがあり、また素直な性格なので頭角を現しますが、その過程が実にリアルで、私の周りの人間も「あんな面白いボクシング漫画はない」と言っていました。私もお兄さんのてつや先生の『あしたのジョー』とはまたひと味違ったボクシング漫画として毎号楽しみにしていましたので、先生が突然お亡くなりになった時には、本当にショックでした。
 その頃、私は連続KO勝利を続けており、亡くなる4日前の試合で13試合連続KO勝ちの日本新記録を達成しましたが、実はこの試合に先生もお見えになる予定でした。先生に新記録達成の瞬間をお見せできなかったのが、今でも残念でなりません。そのあと、私は故郷・沖縄での祝勝会に行き、その席で先生の訃報を聞きました。急いで上京し、葬儀に参列させていただきましたが、ついこの間まで、あんなに元気だったのにと思うと、ずっと信じられない思いでいっぱいでした。
 あれから10年。私も引退して6年が経ちました。ボクシングの世界も少しずつ変わってきました。でも先生の作品は、今でも変わらずに輝いています。そして、これからも輝き続けるに違いないと信じています。

(「ちばあきおのすべて」回想ちばあきおより)

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