キャプテン 野球評論家 佐々木信也さん
ジャンプ・コミックス

熱戦展開の「プレイボール」

野球評論家 佐々木信也
コミックス『プレイボール』第5巻

 野球ファンを魅了した、プロ野球や、六大学リーグが終わって、今はシーズン・オフ――。ストーブ・リーグは、昨年以上にさかんですが、こちら「プレイボール」のほうも、墨谷高校対東都実業高校の熱戦がつづいていますね……。
 この「プレイボール」のタイトル実にいいですね。私も、かつて選手だったころ、主審が右手を高だかとあげて、″プレイボール″と宣するのを、なんどか耳にしています。
 このことばの響きは、いつ聞いても、身がひきしまるのと同時に、″よし!やってやるぞ″という、ファイトがわいてくるものです。
 主人公の谷口三塁手も、やはりそうだと思いますよ。試合中墨谷がどんな不利な立場にたたされても、けっして谷口くんは、投げだすようなことはなく、ベストをつくして、ピンチを切り抜ける努力をしていますね。(野球では、よく点差が大きく開いた場合、負けている方のチームは、試合を投げ出してしまう場面を見受けますが……)
 それどころか、逆に相手チームのちょっとしたスキを見つけては、チャンスをものにして、チームを有利にみちびいています。プレイボールがかかってからの、谷口くんはりっぱですね。
 そればかりではないようです。指の骨折というハンディがあるにもかかわらず、りっぱに三塁をこなし、ピッチャーとしては、フォークボールを投げるといった具合に……。
 現在、野球まんがはたくさん出ていますけど、その中でも、この「プレイボール」は、オーソドックスなストーリーで、高校球児の詩情を高らかにうたっている傑作といえますね。ガンバレ、谷口!! 負けるナ墨谷!!
 私も、一日も早く球音やプレイボールの声がきこえる日を、心まちにしています。


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