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春、夏の甲子園大会。高校球児なら、だれしも憧れる夢の球宴。ぼくも、毎年欠かさずテレビの前にかじりついて見ているひとりですが、気に入らない点が一つあるのです。
というのは、高校野球の本質的な良さが、最近、失われていっているような気がするのです。
高校球児たちの汗と努力の結晶であるはずの甲子園大会が、今や巨大化して、プロ球団のオーディション大会みたいなものになってきた感があります。そのためかプレイ自体も、昔ほど感動的でなくなったような気がするのです。
野球をやっている以上、だれしも強いチームに入り、自分の実力を充分に発揮してみたいと思うし、甲子園に出場したいと思うのは当然です。
ところが大会に出場するのは、例年、名門と呼ばれる学校が大半を占め、あたかも、プロ野球のリーグ戦を見ているのではないかという錯覚にさえ陥ることがあります。高校野球の本来の姿とは、どこかかけ離れてしまったのではないか――こんなことを思いながら、しかし、やはりテレビの前から離れようとはしないぼくなのです。
ぼくは、ご想像どおり、野球が大好きです。最近、我らチューリップもチームを結成し、コンサートの合間をぬって草野球を楽しんでいます。
長い間一緒に仕事をしてきて、もうすっかりわかっていたつもりのメンバーですが、野球を通して今まで知らなかった意外な一面を発見したり、また、ぼくたちの陰となって働いてくれているスタッフたちと、仕事を離れた生身の人間同士のつき合いができたりと、野球をすることによって、いろいろ新しい体験ができるのです。それになによりも、チームプレーの大切さ、これを実感として体験できることが一番だと思っています。
この『プレイボール』を読んでいて、ほのぼのとした墨谷高校ナインの純朴さに好感を持ったのは、そうしたぼく自信の野球体験からくるのかもしれません。
がんばれ谷口! がんばれ墨谷高校!!