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このキャプテンの劇場映画版は最初テレビスペシャルとして1980年 4月 2日に日本テレビ系で放映された。
その作品を土台に青葉学院との再試合を描いた新作部分をたした「延長編」が1980年 8月20日に再度放映された。
そして1981年 7月に劇場映画として公開された。
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この夏兄弟そろってアニメ映画に挑戦
アニメのし烈な戦いが予想される夏の映画界に挑む2人の劇画家兄弟がいる。ちばてつや、あきお兄弟で、兄のてつやは「あしたのジャー2」(4日封切り)、弟のあきおは「キャプテン」(18日封切り)と、共に代表作をひっさげて登場する。
兄のほうは「前作”あしたのジョー”にかなりの不満と悔いが残った」と、今回は監督としても名乗りをあげ「劇場まで 見にきてくれた人に、とにかく満足して帰ってもらえる作品にした」と自信満々。
(中略)
兄のほうはアニメ化には慣れているが、弟は初めて。
「キャプテン」は、東京・下町の中学校の野球部を舞台にした作品だが、いわゆるスポーツ根性ものではなく、ナインの友情や信頼関係がテーマ。
「声には多少ぼくのイメージと違っているところがありますが、原作をよく生かしてくれてると思います。ほのぼのとしたムードも大切にしてくれてますしね。原作者として、このアニメ映画には90点はあげられます」
兄の作品の主人公・ジョーはスーパー・スターだが、「キャプテン」にはスターはいない。
「どこにでもいるような男の子が主人公です。どんな平凡なこどもでも、努力すればなんとかなるんだということを描きたいんです。”魔球”が登場するより、プレーはへた、エラーも多いってこどもたちのほうがが好きなんです」
同じスポーツものでも、兄のほうは強烈、弟のほうはほのぼののムードと、およそ作品のイメージは正反対だが、互いに「相手の作品は好きだ。できるだけ多くの人に見てほしいですね」と声をそろえていた。
(昭和56年 7月 3日金曜日サンケイ新聞夕刊より)
ちばてつや(兄)から ちばあきお(弟)へ…あきおは、わが千葉家、男ばかりの4人兄弟の三男坊だ。 終戦もまぢかい昭和18年、満州(現在の中華人民共和国の東北部)の奉天で、仮死状態でうまれた。2キロそこそこの未熟児で、 医師がさかさにつるし尻をたたいてはじめて"ヒー…"とかぼそき産声をあげたという。 誕生時のハンデがたたってか、現在にいたってもあまり成長のきざしはみられず、今だに小学生のごとき童顔風情がぬけきらないままでいる。体つきも、じつに華奢で繊細である。
しかし、どう考えてみるに、彼は4人兄弟のうちでいちばん精密につくられていたらしい。あまり頭のよくない兄弟にかこまれて育ちながら、学校の成績はつねに上位をゆずらなかったし、反射神経や運動神経も、まずまず人後にはおちない。ラジオや時計などはじつにたやすく修繕してのけるし、やたらダイヤルや計器のついたオーディオセットなどを、鼻唄まじりにいじくりまわす。紙芝居のイモアメをしゃぶり、ベーゴマにうつつをぬかしていた下町育ちの兄弟にまざって、電気をいじり、クラシックギターをつまびいて、ただひとり、貴公子然としていた。
そんな彼が、学生時代からむりやり兄貴の仕事を手伝わされているうちに、いつの間にかこの世界に入ってしまった。
ところが……いざいざマンガが本業となるや、とたんにひどい不器用になった。たわいのないひとコマに必要以上にこだわり、悶もんと苦しむ。カビのような不精ヒゲがこけた頬にちらばり、ドテラだかハンテンだかを不格好にまとって、ぜんそくもちのじいさんがゲリをしたような顔で、のそのそ部屋を動きまわる。
そんな姿をみるたび、この世界にひきいれてしまった罪を深く感じ――反面、同じ苦しみをもつ仲間を、身ぢかな弟に得た喜びを強く感じるのである。ちばあきおのメッセージ
「キャプテン」は野球漫画ですが、ぼくとしては野球自体の持つ面白さを描くというよりも、身近にいる子供達の世界を描きたかったのです。野球というスポーツを通じいろいろな問題にぶつかり、悩み、考え、時にはなぐりあいのケンカまでしながらのりこえていく。
どこにでもあるそんな子供達の世界を劇場用アニメという迫力のある画面、迫力のある音響効果をプラスして、TVとはまた違ったフンイキでお見せできるのは原作者にとってとてもうれしいことです。
この映画を観て下さったみなさんが、たとえひとときでも楽しかったと思ってくれれば幸いです。僕も兄貴にまけないよう、これからもがんばりますので、よろしく…ボクも『キャプテン』を応援します。 王貞治さん(読売巨人軍助監督)
苦しいとき、あせっているとき、また絶望しそうになったとき、そこで踏んばってチームを支えるキャプテン、そして歯を食いしばってついていくナインの姿。
勝って泣き、負けて泣く。その涙のとうとさを「キャプテン」は教えてくれる。その意味で読むたびにさわやかな気持ちがするし、親しみを覚える。第一、このチームの中学の名前が、東京の下町でぼくの卒業した本所中学のある墨田区に似ているからね。
企画 | ................ | 吉川斌 |
プロデューサー | ................ | 堀越徹 鷹巣政安 |
監督 | ................ | 出崎統 |
演出助手 | ................ | 神井裕行 |
作画監督 | ................ | 清水滋崇 清水恵蔵 |
脚本 | ................ | 城山昇 |
原作 | ................ | ちばあきお |
撮影 | ................ | 飯塚進 |
音楽 | ................ | 木森敏之 |
美術監督 | ................ | 遠藤守俊 |
録音 | ................ | 左近允洋 |
編集 | ................ | 矢吹敏明 川名雅彦 |
声の出演 | ................ | 和栗正明 熊谷誠二 中田光利 大見川高行 手塚学 西脇政敏 神谷政治 小山神 岩田光央 大栗清史 酒井晴人 安田裕司 麻生美代子 上田敏也 政宗一成 長堀芳夫 稲垣悟 森山周一郎 ハナ肇 |